本記事では、コンピュータ上で動画がどのように表現されているのかという基本的な仕組みと、フレームやフレームレートといった基礎用語、さらにMPEG、H.264、H.265といった動画圧縮方式や、AVI、MP4といった代表的な動画ファイル形式の特徴について、整理して解説します。
1. 動画が「動いて見える」仕組み

この章では、動画を構成する最小単位であるフレームと、そのフレームがどれくらいの速さで切り替わるかを表すフレームレートについて説明します。動画の基本構造を理解しておくことで、後に登場する圧縮方式やファイル形式の役割もつかみやすくなります。
フレーム
フレームとは、動画を構成する1枚1枚の静止画のことです。パラパラ漫画を思い出すとイメージしやすく、紙に描かれた各コマがフレームに相当します。コンピュータで扱う動画も、実際には多数の静止画を連続して切り替えることで「動き」を表現しています。
フレームは、静止画処理で学ぶラスターデータやベクターデータと同じように、ピクセルの集合として記録されます。動画ではこのフレームが1秒間に何十枚も連続して表示されるため、容量を抑える工夫をしないと非常に大きなデータになってしまいます。後に説明する動画圧縮方式は、この大量のフレームデータを効率よく扱うために重要な役割を果たしています。
フレームレート
フレームレートとは、1秒間に何枚のフレームを表示するかを示す値で、「fps(frames per second)」という単位で表されます。たとえば30fpsであれば、1秒間に30枚の静止画が切り替わっていることになります。フレームレートが高いほど、動きがなめらかに感じられるのが一般的です。
一方で、フレームレートを上げると、同じ時間の動画でも必要なフレーム数が増えるため、データ量が大きくなります。そのため、なめらかさとデータ量のバランスを考えながら、動画配信サービスやテレビ放送などでは適切なフレームレートが選ばれています。動画処理では、このようにフレームとフレームレートの関係を意識することが基本となります。
2. 動画圧縮方式(コーデック)の種類

この章では、動画データを小さなサイズにまとめるための圧縮方式、いわゆる「コーデック」と呼ばれる仕組みについて解説します。特に、MPEGと、その流れをくむH.264やH.265の特徴を押さえておきましょう。
MPEG(Moving Picture Experts Group)
MPEGは「Moving Picture Experts Group」という国際的な専門家グループの名称であり、そのグループが策定した動画・音声の圧縮規格の総称でもあります。MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4など複数の規格があり、ビデオCD、DVD、地上デジタル放送、インターネット動画配信など、さまざまな場面で利用されてきました。
MPEGの規格では、フレーム間で変化していない部分を再利用するなど、人間の目の特性と動画の連続性をうまく利用してデータを圧縮します。これにより、膨大なフレームをそのまま保存するよりも、はるかに小さいサイズで動画を扱えるようになります。MPEGという言葉を見かけたら、「動画や音声を効率よく圧縮するための国際規格」と捉えておくと理解しやすくなります。
H.264
H.264は、MPEG-4の一部として策定された動画圧縮方式で、「MPEG-4 AVC(Advanced Video Coding)」と呼ばれることもあります。従来のMPEG-2などと比べて、同じ画質であればより小さなデータ量で動画を保存・配信できる点が大きな特徴です。インターネット動画配信、Blu-rayディスク、デジタル放送など、多くの場面で採用されています。
H.264では、フレームの中で似たパターンを細かく探して再利用したり、動きの情報を効率よく表現したりするなど、さまざまな工夫で高い圧縮率を実現しています。その分、圧縮や再生に必要な計算は複雑になりますが、コンピュータの性能向上とともに広く普及しました。動画関連の問題でH.264という用語が出てきたら、「現在でも主流の動画圧縮方式の一つ」と認識しておくとよいでしょう。
H.265
H.265は、H.264の後継として策定された動画圧縮方式で、「HEVC(High Efficiency Video Coding)」とも呼ばれます。H.264と比べて、同等の画質でさらにデータ量を半分程度に抑えられることを目標として設計されています。特に、4Kや8Kといった高解像度の動画を扱う場面で効果を発揮します。
H.265は、より細かい単位で映像を分割して解析するなど、高度な処理によって高い圧縮効率を実現しています。その一方で、エンコード・デコードに必要な計算量が増えるため、対応機器やソフトウェアが十分に普及しているかどうかが重要になります。試験対策としては、H.264より新しい世代の方式であり、高解像度動画向けに効率化されている、という位置付けを押さえておけば十分です。
3. 動画ファイル形式(コンテナ)の役割

この章では、圧縮された動画データや音声データをまとめて保存する「コンテナ形式」として、AVIとMP4の特徴を説明します。コーデックとコンテナの違いを意識しながら整理しておきましょう。
AVI
AVIは、主にWindows環境で古くから使われてきた動画ファイル形式で、正式名称は「Audio Video Interleave」です。その名の通り、動画と音声のデータを交互に記録することで、同期を取りながら再生できるようにしています。AVIファイル自体はコンテナであり、中にはさまざまなコーデックで圧縮された動画・音声データを入れることができます。
しかし、AVIは比較的古い形式であり、近年の高機能な圧縮方式や字幕、メタデータなどの扱いには制限がある場合があります。そのため、現在では編集ソフトの中間ファイルや一部の用途を除き、配布や配信向けにはより新しい形式が選ばれることが多くなっています。AVIという名前を見かけたら、「Windowsでよく使われてきた、動画と音声をまとめるコンテナ形式」と理解しておくと整理しやすくなります。
MP4
MP4は、正式には「MPEG-4 Part 14」と呼ばれる動画ファイル形式で、現在広く普及しているコンテナ形式の代表例です。動画にはH.264やH.265などのコーデック、音声にはAACなどのコーデックを組み合わせて格納することができ、さらに字幕やチャプター情報、メタデータなども含めることができます。
MP4の強みは、スマホやタブレット、パソコン、テレビ、ゲーム機など、さまざまな機器やアプリで広くサポートされている点です。インターネット上の動画配信サービスでも標準的に用いられており、「汎用性の高い動画ファイル形式」として押さえておくとよいでしょう。ここで注意したいのは、MP4というのはあくまで箱(コンテナ)の名前であり、その中で動画部分に使われる圧縮方式としてH.264やH.265といったコーデックが選ばれている、という構造です。
まとめ
動画処理を理解するうえでは、まず動画が多数のフレームから構成されていること、そしてフレームレートによって動きのなめらかさが決まることを押さえておくことが大切です。フレームをそのまま保存すると膨大なデータ量になるため、現実的なサイズで動画を扱うには、効率的な圧縮が欠かせません。
その圧縮を担う仕組みとして、MPEGをはじめとする動画圧縮方式があり、その中でもH.264やH.265は、現在のインターネット動画や高解像度映像で重要な役割を果たしています。これらの方式は、フレーム間の差分や人間の視覚特性を巧みに利用して、高画質を保ちながらデータ量を削減しています。動画がスムーズに配信・保存できるのは、こうしたコーデックの働きによるものです。
さらに、圧縮された動画や音声、字幕などを一つにまとめる器として、AVIやMP4といったコンテナ形式があります。AVIは古くから使われてきた形式であり、MP4は現在もっとも一般的な形式の一つです。動画を扱うときには、「コーデック(圧縮方式)」と「コンテナ(ファイル形式)」の違いを意識しながら、それぞれの特徴を整理しておくと、さまざまな動画ファイルに出会ったときにも迷いにくくなります。


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