本記事では、ソフトウェアの開発規模や開発環境をもとに、開発工数や開発期間をどのように見積もるのかという基本的な考え方を解説します。代表的な見積り手法として、ファンクションポイント法、類推見積法、相対見積を取り上げ、違いや使いどころを整理していきます。
1. ソフトウェア見積りの基本

この章では、そもそもソフトウェアの見積りとは何か、何を基準に考えるのかといった全体像を整理します。どの見積り手法も、「規模・環境・過去の実績」などをもとに、工数や期間を推定していることを押さえておきましょう。
ソフトウェアの見積りでは、まず「どれくらいの規模のシステムを、どのような環境で開発するのか」を把握します。規模とは、画面や帳票の数、処理の複雑さ、外部システムとの連携の有無などを含めた「やるべき仕事の量」のイメージです。開発環境としては、使用するプログラミング言語や開発ツール、チームのスキルレベルなどが影響します。
これらを踏まえて、「この規模なら合計何人月くらいの工数が必要か」「スケジュールとしては何カ月で完了できそうか」といった見積りを行います。ITパスポート試験では、細かい計算よりも、「どのような考え方で見積りを行うのか」「どんな方法があるのか」を理解しておくことが重要です。
2. 規模から考える見積り

この章では、ソフトウェアの「機能の大きさ」に着目して規模を見積もるファンクションポイント法について説明します。規模を数値化し、それを工数に結びつける考え方がポイントです。
ファンクションポイント(FP:Function Point)法
ファンクションポイント法は、画面入力、帳票出力、ファイル、外部インタフェースなど、ソフトウェアが持つ機能の種類と数をもとに、システムの規模を「ファンクションポイント(FP)」という単位で評価する手法です。たとえば、「入力画面1つ=○ポイント」「帳票1つ=○ポイント」といった基準を用意し、それらを合計してシステム全体のポイント数を算出します。
このポイント数に、過去の実績から得られた「1FPあたりに必要な工数(人時や人日など)」を掛け合わせることで、開発全体の工数を見積もります。さらに、チーム構成や稼働可能な人数を考慮すれば、おおよその開発期間も算出できます。
ファンクションポイント法の利点は、特定のプログラミング言語や技術に依存せず、「機能の量」に着目して規模を比較できる点です。そのため、大まかな上流工程の段階でも使いやすく、異なるプロジェクト同士の規模比較にも適しています。
3. 過去実績や相対比較を使った見積り

この章では、過去のプロジェクトや他の機能との「似ている度合い」をもとに工数を推定する、類推見積法と相対見積について解説します。どちらも、人間の「経験」を上手に数値に変えて活用する手法だと捉えると分かりやすくなります。
類推見積法
類推見積法は、過去に実施した似たプロジェクトや機能を参考にして、工数や期間を見積もる方法です。たとえば、「前回の販売管理システムは150画面で10人月だった。今回は100画面でやや複雑さが増すので、8〜9人月程度だろう」といった考え方をします。
この手法では、過去プロジェクトのデータが充実しているほど精度が上がります。また、「規模は前回の1.2倍」「難易度は前回より少し高い」といった感覚的な情報も、一定のルールに沿って数値化していきます。メリットは、比較的短時間で見積りが行える点ですが、過去実績が少ない場合や、まったく新しい分野のシステムでは使いにくいという特徴もあります。
相対見積
相対見積は、「ある機能を基準にして、他の機能がどれくらい大きい(または小さい)か」を相対的に評価する方法です。たとえば、基準となる機能を「規模1」として、少し複雑な機能は「規模2」、さらに大きい機能は「規模3」といったようにランク付けします。
アジャイル開発などでは、ストーリーポイントと呼ばれる単位で相対見積を行うことが多く、「この機能は前の機能の2倍くらいの手間がかかりそう」といったチームの感覚を数値として表現します。そのうえで、「ポイント合計◯点なら、このチームのスピードで何スプリント(開発サイクル)かかる」といった形で、工数や期間を推定します。
相対見積の強みは、まだ詳細な仕様が決まっていない段階でも、チームの経験を活かしておおよその規模感を掴める点です。一方、絶対的な時間や費用に変換するときには、過去の実績から「1ポイントあたり何時間か」を把握しておく必要があります。
まとめ
本記事では、ソフトウェアの開発規模や開発環境をもとに、工数や期間を見積もるときの基本的な考え方を整理しました。見積りでは、まず「どれくらいの機能を、どのような環境で作るのか」という規模と前提条件を把握し、それを工数・期間に変換していくことが重要でした。
そのうえで、機能の量をポイント化して規模を見積もるファンクションポイント法、過去の類似プロジェクトを参考にする類推見積法、他の機能との相対的な大きさで評価する相対見積という3つの代表的な手法を紹介しました。いずれも、開発経験や実績データを活用して、より現実的な数字に近づけていくアプローチだといえます。
ITパスポート試験では、細かな計算式よりも、「各手法が何を手掛かりにして見積りを行っているのか」「どんな特徴や使いどころがあるのか」を押さえておくことが大切です。ソフトウェア見積りを、プロジェクト計画を立てるうえで欠かせない出発点としてイメージしておくと、関連問題にも対応しやすくなるでしょう。


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