【ITパスポート試験】No.156|ネットワークの構成

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本記事では、身近な職場のネットワークが「LAN」と「WAN」という二つの考え方で構成されていることを踏まえながら、それぞれがどの範囲を担当し、どのような役割を持っているのかを、オフィスの具体的なイメージとともに分かりやすく解説します。

目次

1. 身近な職場ネットワークをイメージする

この章では、難しい専門用語に入る前に、一般的なオフィスのネットワークがどのようにつながっているのかを、全体像から確認していきます。

職場ネットワークの基本的なつながり方

多くの職場では、従業員が使うパソコンやタブレット、スマートフォン、ネットワークプリンタ、ファイルサーバなどが、社内に設置されたスイッチや無線アクセスポイントを介して相互に接続されています。従業員は、同じフロアや同じ建物にあるプリンタで印刷したり、社内ファイルサーバに保存された資料を開いたりしながら日々の業務を行っています。これらの「社内にある機器同士のつながり」が、まず最初のネットワークの単位です。

同時に、多くの業務は社外のサービスとも結び付いています。クラウドのグループウェアやオンライン会議、取引先とのメールやWebシステムのやり取りなど、社外にあるサーバとの通信も欠かせません。社内のネットワーク機器からインターネット回線を経由して、全国・全世界に広がる他社・他拠点のネットワークとつながることで、職場のネットワークは初めて「外の世界」と情報をやり取りできるようになります。

LANとWANが登場する場面

このような職場ネットワークを整理する際、「どこまでが社内の範囲で、どこからが社外の広い世界なのか」を区別するために使われるのが、LANとWANという言葉です。社内の限られた範囲で完結するネットワークを指すのがLAN、離れた拠点同士やインターネットのように広い範囲をカバーするネットワークを指すのがWANという整理になります。

LANとWANを意識すると、ネットワークの構成やトラブルの切り分けがしやすくなります。例えば、社内のファイルサーバにはつながるがインターネットには出られない場合、「LANの中は生きているがWAN側の経路に問題がありそうだ」といったように、どの部分を疑うべきかの見当を付けやすくなります。次の章から、それぞれの意味をもう少し具体的に見ていきましょう。

2. LAN(ローカルエリアネットワーク)を理解する

この章では、身近な職場のネットワークのうち「社内のまとまり」を表す言葉としてのLANについて、その意味と特徴を解説します。

LANの意味と特徴

LANは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略で、日本語では「構内ネットワーク」などと説明されることがあります。ここでいう「ローカル」とは、限られた範囲という意味で、典型的には一つのオフィスフロア、一つの建物、あるいは工場や学校など、同じ敷地内にある機器同士をつないだネットワークを指します。自宅のWi-Fiルーターにつながっている家庭内の機器も、広い意味ではLANと考えられます。

LANの特徴は、比較的短い距離を前提にしているため、通信速度が速く、安定した接続がしやすいことです。オフィス内では、ギガビット級の高速な有線LANやWi-Fiが当たり前になっており、ファイルサーバへのアクセスやネットワークプリンタへの印刷なども快適に行えます。また、LANの中は企業や家庭が自分たちで管理できるため、アドレスの割り当てやセキュリティ設定などを、組織の方針に合わせて柔軟に設計できる点も重要です。

職場LANの具体的なイメージ

典型的な職場のLANでは、各机のパソコンがスイッチングハブと呼ばれる機器に接続され、そこから社内のサーバ群やインターネットに出ていくためのルーターにつながっています。同じLANの中にある機器同士は、基本的に直接通信が可能であり、ファイル共有やプリンタ共有などがスムーズに行えるようになっています。最近では、ケーブルの代わりに無線LAN(Wi-Fi)で接続する端末も増えていますが、これもルーターやアクセスポイントを介して同じLANの一部として扱われます。

LANをうまく構成することで、職場の情報共有が効率化されるだけでなく、障害やセキュリティインシデントが起きた際にも被害を局所化しやすくなります。例えば、部署ごとにLANのセグメントを分けておけば、ある部署の端末がトラブルに見舞われても、他の部署への影響を最小限に抑えられる場合があります。このように、LANは単なる「つながりの単位」ではなく、運用やセキュリティを考えるうえでの基本的な枠組みとしても重要です。

3. WAN(ワイドエリアネットワーク)を理解する

この章では、離れた拠点同士やインターネットのような広域のネットワークを指すWANについて、LANとの違いを意識しながら説明します。

WANの意味と役割

WANは「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)」の略で、地理的に離れた場所を結ぶ広域ネットワークを意味します。一つの建物や敷地を超えて、都市間・地域間・国際間といった広い範囲で拠点同士を接続するネットワークがWANにあたります。企業が本社と支社、工場、営業所などを専用線やVPNで接続している場合、その拠点間をつなぐ回線部分はWANとして考えられます。

WANの特徴は、回線を自社だけで完結させるのではなく、通信事業者が提供する回線やインターネットインフラを利用する点にあります。そのため、通信品質や帯域、料金などを踏まえてサービスを選び、契約に基づいて利用することになります。また、物理的な距離が長くなるほど遅延の影響が出やすくなり、LANに比べると速度や安定性の面で制約が生じることもあります。こうした制約の中で、どのように拠点間の通信を設計するかがWANの設計のポイントです。

インターネットと企業WANの関係

今日では、世界中のネットワークを相互接続した巨大な仕組みとしてインターネットが存在しており、これも広い意味ではWANの一種として位置付けられます。企業の拠点同士をインターネットを経由してVPNで接続するケースも多く、従来の専用線型WANとインターネット型WANの境目は、実務上だんだんとあいまいになってきています。

しかし、LANとWANを区別して考える意義は今でも残っています。インターネットや事業者の回線を利用するWAN部分は、社内LANと比べて制御できる範囲が限られるうえ、セキュリティリスクも高くなります。そのため、WANとの接続部分にはファイアウォールやVPN装置などを設置し、LAN側とは異なるルールで厳重に管理する必要があります。インターネットを通じたクラウドサービス利用も、基本的には「LANの外のWANにあるリソースをどう安全に使うか」という観点で設計されます。

4. LANとWANを組み合わせた職場ネットワーク

この章では、LANとWANが実際の職場ネットワークの中でどのように組み合わさっているのかを整理し、両者を意識しておくメリットを確認します。

拠点内はLAN・拠点間はWAN

多くの企業では、「一つの拠点の中をLANで構成し、拠点と拠点の間をWANで結ぶ」という形でネットワークを設計しています。本社ビルの中には本社LAN、各支店には支店LANがあり、それぞれがインターネットや閉域網サービスを通じてつながることで、全社ネットワークが成り立っています。従業員は普段、LANの存在を意識することはあまりありませんが、社内システムにアクセスするときにはLAN上のサーバに、別拠点のシステムにアクセスするときにはWANを経由して通信していることになります。

このように、LANとWANは対立するものではなく、「範囲の違うネットワーク同士が階層的につながっている」という関係にあります。LAN側では端末やサーバの台数増加に合わせた増強やセキュリティ対策を行い、WAN側では拠点数やトラフィック量に応じた回線設計や冗長化を行う、といったように、それぞれ別の観点で運用が行われています。

LANとWANを意識するメリット

LANとWANの違いを理解しておくと、ネットワーク上の不具合や性能低下の原因を考える際に役立ちます。例えば、社内のファイルサーバには問題なくアクセスできるのに、クラウドサービスだけが極端に遅い場合、LANの問題よりもWAN側やインターネット経路の混雑を疑う方が自然です。逆に、同じフロアのプリンタに印刷できないがインターネットには接続できる場合は、LANの一部分にトラブルが起きている可能性が高いと考えられます。

また、ネットワークの更新計画を立てる際にも、LANとWANを分けて考えることで優先順位を付けやすくなります。例えば、リモートワークやクラウド利用が増えるとWAN側の帯域拡張が重要になりますし、高解像度の図面や動画を社内でやり取りする機会が増えればLAN側の高速化が必要になるかもしれません。このように、「社内の狭い範囲=LAN」「拠点間・インターネットなどの広い範囲=WAN」という視点を持つことは、ネットワークの計画やトラブルシューティングにおいて大きな助けになります。

まとめ

職場のネットワークは、一見すると複雑に見えますが、大まかには「社内の限られた範囲をつなぐLAN」と「拠点間やインターネットのような広い範囲をつなぐWAN」という二つのレイヤーに分けて考えることができます。LANは、オフィスや工場など一つの拠点内での機器同士のつながりを担い、高速で安定した通信や柔軟な管理を実現する役割を持っています。一方、WANは、離れた拠点同士や社外のサービスを結ぶためのインフラであり、通信事業者の回線やインターネットを通じて広い範囲をカバーします。

実際の企業ネットワークでは、各拠点内のLANを土台として、その上をWANが結び付ける形で全体の構成が成り立っています。拠点内のプリンタやファイルサーバへのアクセスは主にLANの仕事であり、クラウドサービスの利用や他拠点との情報共有はWANの仕事だと考えると、ネットワークの役割分担がイメージしやすくなります。トラブル対応や増強の検討も、「LAN側の問題なのか、WAN側の問題なのか」を意識することで、原因の切り分けや対策の優先度付けが行いやすくなります。

学習にあたっては、LANとWANの厳密な技術仕様をすべて覚える必要はありませんが、「LAN=身近な職場や家庭内のネットワーク」「WAN=拠点間やインターネットなどの広いネットワーク」というイメージをしっかり持っておくことが大切です。そして、身の回りのネットワーク機器を眺めながら、「これはLAN側の機器か」「これはWANとの境目か」と考えてみると、用語と現実のつながりが見えてきて、理解がぐっと深まっていくでしょう。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

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