【ITパスポート試験】No.152|データの正規化

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本記事では、データベース設計で重要な考え方である「データの正規化」について、その難しい理論には踏み込まず、なぜ正規化が必要なのか、正規化を意識しないとどのような問題が起きるのかを、身近な例を交えながら分かりやすく解説します。

目次

1. 正規化のイメージをつかむ

この章では、データの正規化がどのような作業なのかを、形式張った理論ではなく「ざっくりしたイメージ」のレベルでつかむことを目指します。

正規化とは何か

データの正規化とは、一言でいえば「データを重複なく、矛盾なく、すっきり整理された形に分割・配置し直すこと」です。現実の業務では、とりあえず必要な項目を一つの表に詰め込み、運用しながら項目を追加していくうちに、同じ情報があちこちに出てきてしまうことがよくあります。正規化は、そのように膨れ上がった表を見直し、「本来はどの単位でデータを持つべきか」を考えながら表を分けていく作業だと考えると分かりやすいです。

例えば、「顧客情報と注文情報と商品情報が全部一つの表に入っている」ような状態を想像してください。顧客名も住所も、注文日も商品名も価格も、すべて1行に詰め込まれているとします。このまま運用を続けると、同じ顧客が複数回注文するたびに住所や電話番号も何度も登録することになり、修正があったときに全部を直し忘れてしまう危険があります。正規化では、このような表から「顧客だけの表」「注文だけの表」「商品だけの表」を切り出し、必要な項目だけを別々に管理する方向へ整理していきます。

2. 正規化が必要になる理由

この章では、正規化を行わないままデータを持ち続けると、どのような不具合が起こるのかという観点から、正規化の必要性を考えていきます。

冗長なデータが招く問題

正規化をしていない表では、同じ情報を何度も繰り返し記録してしまう「データの冗長性」が高くなりがちです。例えば、顧客名や住所を注文のたびに毎回書き込んでいると、同じ顧客に関する情報が何十行、何百行と増えていきます。一見すると、どの行にも必要な情報が揃っているので便利そうに見えますが、裏側ではいくつかの問題が潜んでいます。

一つは、データ量そのものが増えてしまうことです。ストレージの容量という意味だけでなく、バックアップ時間が長くなったり、検索に時間がかかったりといった影響も出てきます。もう一つは、同じ顧客の住所を変更するような場面で、「どの行を直せばいいのか」「全部直し終わったかどうか」が分かりにくくなることです。どこか一行だけ古い情報のまま残ってしまうと、帳票によって住所が違うといった矛盾が生じ、信頼性を損ねます。

更新・追加・削除の異常(アノマリ)

正規化されていないデータ構造では、更新・追加・削除といった日常的な操作の中で、思わぬ不具合(異常=アノマリ)が起きやすくなります。例えば、まだ一度も注文していない新規顧客を登録したい場面を考えてみましょう。顧客と注文が一つの表に詰め込まれている場合、「注文がないと顧客情報だけでは1行を作れない」という状況が発生し、顧客を先に登録したくてもできない、という不便さが生まれます。

逆に、ある商品をすべての注文から削除した結果、その商品に関する情報が一切残らなくなってしまうこともあります。本来であれば「今は売っていないが、過去には扱っていた商品」として履歴を残したいのに、注文データと一緒くたにしているために、削除操作が商品情報の消失にもつながってしまうのです。また、単価だけを変更したつもりが、過去の注文の履歴まで書き換わってしまう、というケースも起こり得ます。こうした更新・追加・削除にまつわる不自然な挙動を減らすことが、正規化の大きな目的の一つです。

3. 正規化を意識した設計のコツ

この章では、正規化の難しい段階名を覚えるのではなく、実務で役立つ「正規化を意識した考え方」と「運用とのバランスの取り方」のポイントを解説します。

正規化の考え方の基本

正規化を意識した設計の基本は、「一つの表には、特定の種類のことだけを書き、繰り返し出てくる情報は別の表に分ける」という発想です。顧客に関する情報は顧客テーブル、商品に関する情報は商品テーブル、注文の事実は注文テーブル、というように、現実世界の“モノ”や“出来事”ごとに表を分けて考えていきます。そして、テーブル同士のつながりは主キー・外部キーを使って表現します。

このとき、「同じ値が何度も出てこないか」「一つのセルの中に複数の情報を詰め込んでいないか」といった観点で表を見直すと、正規化の必要な箇所が見つかりやすくなります。例えば、「住所と郵便番号が一つの項目にまとめて入力されている」「複数の商品名をカンマ区切りで1セルに入れている」といった設計は、後から検索や集計をするときに不便です。分けられる情報はなるべく分け、別のテーブルにすべきものは切り出す、という整理を繰り返すことで、自然と正規化された形に近づいていきます。

正規化とパフォーマンス・現場運用のバランス

正規化を突き詰めていくと、テーブルが細かく分かれ、データの重複や矛盾は減っていきます。一方で、あまりに細かく分割し過ぎると、「必要な情報を取り出すのに多くのテーブルを結合しなければならない」「現場の担当者にとって構造が複雑で分かりにくい」といった別の問題が出てくることもあります。そのため、実務では「理論的にはもう少し分けられるが、運用上はここまでで十分」と判断する場面も少なくありません。

大切なのは、「なぜその形にしているのか」を説明できることです。例えば、「住所は他でも再利用するし変更も多いので別テーブルにする」「一度決まったカテゴリ名はめったに変わらないので、あえて別テーブルに分けずコードと名称を同じ表に持つ」といったように、正規化の考え方を踏まえたうえで、性能や運用のしやすさとのバランスを取ることが求められます。ITパスポート試験では、厳密な段階の名前よりも、「データの重複や矛盾を減らすために正規化がある」という根本的な目的を理解しておくことが重要です。

まとめ

データの正規化は、難しい数式や段階名の話ではなく、根本的には「データを重複なく、矛盾なく、すっきり整理するための考え方」です。一つの表に顧客情報も商品情報も注文情報も詰め込んでしまうと、同じ情報を何度も入力することになり、修正漏れや矛盾が起きやすくなります。正規化は、そうした膨れ上がった表を見直し、顧客・商品・注文といった単位で表を分けていく取り組みだと捉えると理解しやすくなります。

正規化を行わないまま運用を続けると、データの冗長性が高まり、更新・追加・削除のたびに思わぬ不具合が発生しやすくなります。まだ注文していない顧客を登録できない、ある商品の注文を削除したら商品情報まで消えてしまった、住所変更を一部の行にしか反映しておらず帳票によって内容が違う、といったトラブルは、正規化不足が背景にある典型的な例です。こうした「異常(アノマリ)」を防ぐことこそが、正規化の必要性の核心だといえます。

実務では、正規化を突き詰めるだけでなく、テーブル数が増え過ぎて運用が複雑にならないようにするバランス感覚も重要です。データの重複や矛盾をどこまで許容するのか、性能や分かりやすさとどのように折り合いを付けるのかを意識しながら、設計を行うことが求められます。学習にあたっては、細かな段階名を暗記するよりも、「なぜ正規化が必要なのか」「どんな問題を防ぎたいのか」という目的をしっかり理解しておくことで、試験問題にも実務にも応用しやすくなるでしょう。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
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