【ITパスポート試験】No.151|データの設計

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本記事では、業務で扱うデータそのものと、データ同士の関連をどのように整理・設計していくのかを解説しながら、E-R図、コード設計、フィールド(項目)、レコード、ファイル、テーブル(表)、主キー、外部キー、インデックスといった基本用語の意味と役割を分かりやすく説明します。

目次

1. データ構造を分かりやすく整理する

この章では、データベースの最小単位から表・ファイルまでの階層を整理し、データをどのような形で蓄積していくのかという基本構造を理解していきます。

フィールド(項目)

フィールド(項目)とは、データの中で「ひとつの属性」を表す最小単位のことです。顧客データであれば「顧客ID」「氏名」「住所」「電話番号」などがフィールドにあたります。エクセルの表でイメージすると、縦方向の一つ一つの列がフィールドだと考えると分かりやすいです。フィールドごとに「どんな値が入るのか」「何桁まで許容するのか」「必須かどうか」などを決めておくことで、データのばらつきを防ぐことができます。

フィールド設計をおろそかにすると、同じ内容でも人によって書き方が違ったり、必要な情報が抜け落ちたりしやすくなります。例えば「電話番号」のフィールドでハイフンの有無が混在していると、後で検索や集計をするときに不便になります。そのため、フィールドは単に名前を付けるだけでなく、入力ルールやデータ型(数値・文字・日付など)も含めて設計することが重要です。

レコード

レコードとは、複数のフィールドが集まって「1件分の情報」を構成したものです。顧客データでいえば、ある顧客一人分の「顧客ID・氏名・住所・電話番号……」がまとまったものが1レコードです。エクセルの表で考えると、横方向の1行がレコードに相当します。レコードは「誰の情報か」「どの取引か」といった単位を表すための基本的なまとまりだと理解しておきましょう。

レコード設計では、1レコードの中に何を含めるか、どこまでを別のレコードとして分けるかを考えることが大切です。例えば、顧客が複数の住所を持つ場合に「一つのレコードに住所を複数項目として詰め込む」のか、「住所を別の表に切り出して複数レコードで持つ」のかによって、後の検索性や拡張性が変わってきます。レコードの単位は、業務の実態と照らし合わせながら決める必要があります。

ファイル

ファイルとは、同じ種類のレコードをまとめて保存したものです。紙の世界であれば、顧客ごとのカードをまとめて入れている引き出しをイメージすると近いです。コンピュータ上では、あるファイルの中に「顧客レコードだけを集めた集合」「商品レコードだけを集めた集合」といった形で管理されます。ファイルはデータの物理的なまとまりとして扱われることが多く、保存場所やバックアップの単位ともなります。

業務でファイルを設計する際には、「何を一緒くたに保存し、何を分けるべきか」が重要なポイントになります。あまり細かくファイルを分けすぎると管理が煩雑になり、一方で何でもかんでも一つのファイルに入れてしまうと、アクセス権限の管理や処理速度に問題が出ることがあります。どのレコードを同じファイルにまとめるかを考えることは、運用のしやすさを左右する重要な設計作業です。

テーブル(表)

テーブル(表)とは、レコードが横方向に並び、フィールドが縦方向の列として配置された、二次元の表形式のデータ構造です。リレーショナルデータベースでは、このテーブルがデータを管理する基本単位になります。顧客テーブル、商品テーブル、受注テーブルなど、業務ごとに意味のある単位でテーブルを分けて設計していきます。

テーブル設計では、「このテーブルは何を表すのか」「どのフィールドを含めるのか」「他のテーブルとの関係はどうか」を明確にしておく必要があります。たとえば、顧客の住所を顧客テーブルに直接持たせるのか、住所専用のテーブルを作るのかといった判断は、更新頻度やデータ量、再利用のしやすさなどを考慮して行われます。テーブルを適切な粒度で分けておくことで、後からの変更・拡張がしやすい設計になります。

2. データの関係性を表現する設計

この章では、データ同士の関連を整理して表現するための考え方として、E-R図と主キー・外部キーの役割を解説します。

E-R図

E-R図(Entity-Relationship図)は、現実世界の「モノ」や「出来事」と、それらの間にある関係を図として表現するための手法です。ここでいう「モノ」はエンティティと呼ばれ、「顧客」「商品」「受注」などが代表例です。そして、「顧客が商品を注文する」「商品がカテゴリに属する」といったつながりがリレーションシップとして表されます。E-R図を描くことで、システムに必要なデータとその関係性を可視化できます。

E-R図の利点は、業務担当者とシステム担当者の間で認識を合わせやすくなる点にあります。文章だけで「顧客と注文の関係」を説明するよりも、エンティティを四角、関係を線で示した図の方が、誰が誰とどのようにつながっているのか直感的に理解できます。また、E-R図を基にしてテーブルやキー項目を設計していくことで、抜け漏れの少ないデータ構造を考えやすくなります。

主キー

主キーとは、テーブルの中で「レコードを一意に識別するためのフィールド(またはフィールドの組合せ)」のことです。顧客テーブルであれば顧客ID、商品テーブルであれば商品コードなどが主キーの代表例です。主キーの値は、同じテーブル内で重複してはいけず、かつ原則として空欄も認められません。レコードを一つに特定する“番号札”のような役割を担っています。

主キーを適切に設計しておくことで、後から特定のレコードを素早く検索できるだけでなく、他のテーブルから外部キーを通じて参照するときの土台にもなります。逆に主キーの設計を誤ると、同じ顧客が複数レコードに分かれてしまったり、誤って別人の情報を上書きしてしまったりといった問題が起こりやすくなります。主キーはデータの一意性を守る「要」となるものだと意識しておくことが大切です。

外部キー

外部キーとは、あるテーブルの中に存在し、別のテーブルの主キーを参照するためのフィールドのことです。例えば、受注テーブルにある顧客IDは、顧客テーブルの主キー(顧客ID)を参照する外部キーとして働きます。この仕組みによって、「この注文はどの顧客のものか」「この注文に含まれる商品はどれか」といったテーブル間のつながりを表現できます。

外部キーを設定すると、データベース側で「存在しない顧客IDの注文は登録できない」といった整合性チェックを自動的に行えるようになります。これにより、誤入力によって孤立したデータが発生するのを防ぎ、データ同士の関係を正しく保つことができます。また、外部キーの設定はE-R図で示したリレーションシップを実際のテーブル設計に落とし込む作業でもあり、概念設計と物理設計をつなぐ重要なポイントになります。

3. コードとインデックスで使いやすさを高める

この章では、データを効率よく扱うための工夫として、コード設計とインデックスの役割について説明します。

コード設計

コード設計とは、顧客コードや商品コード、部署コードなど、データを識別するための「記号(コード)」のルールを決めることです。単に連番を振るだけでなく、桁数や構成に意味を持たせる場合もあります。例えば、商品コードの先頭2桁でカテゴリを表し、残りの桁で連番を振るようにすると、コードを見ただけで大まかな分類が分かるようになります。

コード設計のポイントは、運用のしやすさと将来の拡張性を意識することです。桁数をケチりすぎると、後から登録数が増えたときに足りなくなってしまいますし、意味を詰め込みすぎると、分類変更のたびにコード体系を大きく変えなければならなくなります。また、人が目で確認する場面が多い場合は、似た文字(Oと0、Iと1など)を避けたり、チェックディジットを入れて入力ミスを検出しやすくしたりする工夫も有効です。

インデックス

インデックスとは、テーブル内のデータを素早く検索するための「索引」のような仕組みです。本の巻末にある索引を使って目的のページをすぐに見つけられるのと同じように、インデックスを作成すると、指定したフィールドの値から該当するレコードを高速に探し出せるようになります。主キーには自動的にインデックスが作成されることが多く、その他にも検索や並べ替えでよく使う項目にインデックスを付けることで、システム全体の性能を向上させることができます。

ただし、インデックスは万能ではなく、作りすぎると逆に更新処理が遅くなるというデメリットもあります。新しいレコードを追加・変更・削除するたびに、関連するインデックスも更新しなければならないためです。そのため、どの項目にインデックスを付けるかは、実際の検索頻度や性能要件を踏まえて慎重に選ぶ必要があります。インデックスは「読み取りを速くする代わりに、書き込みに負担がかかる」という性質を持つと理解しておくと、設計時の判断がしやすくなります。

まとめ

データの設計では、まずフィールド・レコード・ファイル・テーブルといった基本的な構造をきちんと理解し、業務の実態に合った形でデータを整理しておくことが重要です。どの情報をどのフィールドに持たせ、1件分の情報をどの範囲までレコードとしてまとめるか、どのレコードを同じテーブルに収めるかといった判断は、後の運用や分析のしやすさに大きく影響します。土台となる構造が整理されていれば、データの追加や変更にも柔軟に対応しやすくなります。

さらに、E-R図を用いてエンティティとその関係を図として表し、主キー・外部キーによってテーブル同士のつながりを実現することが、データの関連を正しく表現するうえで欠かせません。主キーはレコードを一意に識別する番号、外部キーは他のテーブルへの“橋渡し役”として機能し、データの整合性を守る役割を担います。こうした関係性の設計がしっかりしていれば、データが増えても全体の整合性を保ちやすくなります。

最後に、コード設計とインデックスは、データを「使いやすく」「検索しやすく」するための重要な工夫です。分かりやすく拡張性のあるコード体系を決め、必要な項目に適切にインデックスを設定することで、日々の業務処理や検索性能を大きく向上させることができます。データの設計は一見地味な作業に見えますが、システムの信頼性と効率を支える基盤となるものですので、用語の意味だけでなく、それぞれがどのような目的で使われるのかをイメージしながら理解を深めていきましょう。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
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