【ITパスポート試験】No.116|システム構成

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本記事では、代表的なシステム構成の考え方と特徴について、クライアントとサーバの関係、仮想化技術、信頼性を高める構成、データ保存の仕組みといった観点から整理し、デュアルシステムやクライアントサーバシステム、仮想化、NAS、RAID、マイグレーションなどの用語をまとめて理解できるように解説します。

目次

1. クライアントとサーバの構成パターン

この章では、システムの利用者であるクライアントと、サービスを提供するサーバの関係に注目します。業務システムやWebサービスでは、どこで処理を行うか、どこにデータを置くかによって、使い勝手や管理のしやすさが大きく変わります。代表的な構成を押さえておくことで、システムの全体像をイメージしやすくなります。

クライアントサーバシステム

クライアントサーバシステムは、その名の通りクライアントとサーバが役割分担して動作する構成です。クライアントは利用者のPCやタブレットなどで、画面表示や入力などを担当し、サーバはデータベース処理や共通のビジネスロジックを担当します。クライアントが「このデータをください」「この処理をしてください」と要求し、サーバが結果を返します。

この構成をとることで、データをサーバに集中管理できるため、バックアップやアクセス制御を一元的に行いやすくなります。また、サーバを増強することで全体の性能を上げやすい点もメリットです。一方で、サーバやネットワークに障害が起きると、クライアントからはサービスが利用できなくなるため、サーバ側の冗長化や監視が重要になります。

Webシステム

Webシステムは、ブラウザをクライアントとするクライアントサーバシステムの一種です。利用者はWebブラウザからURLにアクセスし、HTTPやHTTPSといったプロトコルでWebサーバと通信します。業務アプリケーションも、最近は専用アプリではなく、ブラウザで利用する形が増えています。

Webシステムでは、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバなどが役割分担して動作することが多くなります。画面の変更や機能追加は基本的にサーバ側を更新すればよいので、クライアントPCへのソフト配布が不要になる点が大きな利点です。その一方で、同時アクセスが増えるとサーバに負荷が集中するため、負荷分散装置の導入やサーバ台数の調整など、拡張性を意識した設計が求められます。

シンクライアント

シンクライアントは、クライアント側の機能を極力薄くし、ほとんどの処理やデータをサーバ側で持つ構成です。クライアント側は画面表示とキーボード・マウスなどの入力を行うだけで、アプリケーションの実行やデータ保存はサーバ側で行われます。見た目は普通のPCと変わらない場合もありますが、中身は最小限の機能に絞られています。

この方式のメリットは、情報漏えい対策や資産管理のしやすさです。顧客情報や機密データはサーバにしか存在しないため、クライアント端末を紛失してもデータが持ち出されるリスクを小さくできます。また、ソフトウェアの更新もサーバ側で一括管理できるため、端末が数百台規模になっても運用負荷を抑えられます。ただし、ネットワークへ常時接続できることが前提になり、帯域や遅延の影響を受けやすい点には注意が必要です。

ピアツーピア

ピアツーピア(P2P)は、サーバとクライアントの明確な区別を設けず、参加する端末同士が互いに対等な立場で通信する方式です。各端末は「サービスを利用する側」であると同時に「サービスを提供する側」にもなり、ファイル共有やメッセージのやりとりなどを行います。

P2P方式では、特定のサーバに負荷やリスクが集中しないため、障害に強く、参加者が増えるほど全体の処理能力やデータ保有量も増えるという特徴があります。一方で、各端末の状態を一括して管理しにくく、セキュリティやアクセス制御の仕組みを工夫する必要があります。ITパスポート試験では、「サーバ集中型」と対比しながら、端末同士が直接やりとりする構成であることを理解しておくと問題が解きやすくなります。

2. 仮想化技術を使ったシステム構成

この章では、1台の物理コンピュータの上で複数の仮想的な環境を動かす「仮想化」を中心に、仮想マシンやVDIの構成を見ていきます。仮想化技術を使うことで、サーバの集約、柔軟なリソース割り当て、障害時の切り替えなどを効率よく行えるようになります。

仮想化(ホスト型・ハイパーバイザー型・コンテナ型)

仮想化とは、CPU・メモリ・ディスクなどの物理的な資源を、ソフトウェアによって「仮想的なコンピュータ」として切り分けて利用する技術です。1台の物理サーバの上に、複数台分のサーバを動かしているように見せることができ、実際には1台で運用できるため、機器の台数削減や電力・スペースの節約につながります。

代表的な方式として、ホスト型、ハイパーバイザー型、コンテナ型があります。ホスト型は、通常のOSの上で仮想化ソフト(ホスト型ハイパーバイザー)を動かし、その上に仮想マシンを作る方式で、個人利用の仮想環境などでよく使われます。ハイパーバイザー型は、仮想化専用のソフトウェアが直接ハードウェアを制御する方式で、企業のサーバ統合でよく利用されます。コンテナ型は、OSカーネルを共有しつつ、アプリケーションごとに独立した実行環境を用意する方式で、起動が速く軽量であることが特徴です。

VM(Virtual Machine:仮想マシン)

VM(仮想マシン)は、仮想化技術によって作られた「仮想的な1台のコンピュータ」です。利用者から見ると、物理PCと同じようにOSをインストールし、アプリケーションを動かすことができますが、実体は他のVMと同じ物理サーバの上で動いています。CPUやメモリの割り当ても、仮想化ソフトが必要に応じて調整してくれます。

仮想マシンを使うと、用途ごとにサーバを分けたい場合でも、物理サーバを何台も用意する必要がありません。テスト用・開発用・本番用といった環境も、VM単位で柔軟に複製・削除できるため、運用が軽くなります。また、仮想マシン単位でバックアップを取ったり、別の物理サーバに移動したりすることも容易です。この性質は後述するライブマイグレーションにもつながります。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure:デスクトップ仮想化)

VDIは、ユーザのデスクトップ環境(Windowsデスクトップなど)をデータセンタのサーバ上で仮想マシンとして動かし、利用者はその画面を手元の端末から操作する仕組みです。ユーザごとに1台ずつ仮想マシンが割り当てられ、そこに自分専用のデスクトップ環境やアプリケーションが用意されます。

VDIを利用すると、ユーザデータやアプリケーションはサーバ側に集約されるため、情報漏えい対策やバックアップがしやすくなります。また、在宅勤務やサテライトオフィスなどでも、社内と同じデスクトップ環境に安全にアクセスしやすくなります。一方で、多数の仮想デスクトップを集中して動かすため、サーバ側のリソースやネットワーク帯域が不足しないよう、十分な設計と監視が必要になります。

3. 信頼性・可用性を高めるシステム構成

この章では、システムを停止させないことを目的にした構成を取り上げます。障害が起きてもサービスを継続できるようにするには、同じ機能を持つ機器を複数用意したり、別の機器へ素早く処理を切り替えたりする仕組みが重要です。

デュアルシステム

デュアルシステムは、同じ機能を持つ2系統のシステムを同時に動かし、処理結果を照合しながら運用する構成です。2つの系統がまったく同じ処理を行い、結果を比較することで、片方に異常が起きた場合でも、もう片方を正しい系統として判断できます。オンラインバンキングなど、高い信頼性が求められるシステムで利用されます。

この方式では、1台が故障してももう1台が残っているため、サービスを継続しやすいというメリットがあります。また、結果の照合によって誤動作を早期に検知できる点も特徴です。ただし、常に2系統分の機器を稼働させるため、コストや消費電力は高くなりがちです。試験では、「同時稼働・照合」というキーワードとセットで覚えておくと区別しやすくなります。

デュプレックスシステム

デュプレックスシステムは、主系(現用系)と従系(待機系)の2系統を用意し、通常は主系だけを動かしておく構成です。主系に障害が発生したときに、従系へ切り替えてサービスを継続します。平常時には1系統しか動かさない点が、デュアルシステムとの大きな違いです。

この構成では、障害時に切り替えが成功すれば、サービスの停止時間を短くできます。待機系を別の場所に置けば、災害対策としても活用できます。一方で、切り替えのタイミングによっては一瞬サービスが止まる可能性があることや、待機系を最新状態に保つ仕組みが必要になることが課題です。デュアルとの違いとして、「片方だけ動かす」「障害時に切り替え」という点を意識しましょう。

クラスタ

クラスタは、複数のサーバをまとめて1つのシステムのように見せる構成です。クラスタを組む目的には、大きく分けて「可用性向上(HAクラスター)」と「負荷分散」があります。可用性向上では、あるサーバが故障した場合に、別のサーバがその役割を引き継ぎます。負荷分散では、複数サーバに処理を分散させ、全体としての性能を高めます。

クラスタを利用すると、1台のサーバに障害が起きても、全体のサービスを継続しやすくなります。また、利用者が増えたときにサーバ台数を追加して対応することも可能です。ただし、サーバ間で状態をどのように共有するか、切り替え時に処理をどこまで引き継げるかなど、設計や運用は複雑になります。試験では、「複数サーバを1つのグループとして扱う構成」というイメージを押さえておくとよいでしょう。

マイグレーション(ライブマイグレーション)

マイグレーションは、システムやデータを別の環境へ移行することを指します。ハードウェアの老朽化に伴う新サーバへの移行や、クラウドサービスへの移行など、さまざまな場面で行われます。従来は、システムを一度停止してから新環境へ移す「止めてから移す」方式が一般的でした。

これに対して、ライブマイグレーションは、稼働中の仮想マシンをほとんど停止させずに、別の物理サーバへ移動させる仕組みです。メモリ内容やディスク状態を逐次コピーし、最後の瞬間だけ短時間だけ停止して切り替えることで、利用者から見てほぼ無停止での移行を実現します。仮想化環境と組み合わせることで、メンテナンス時のサービス停止を最小限に抑えたり、負荷の高いサーバから余裕のあるサーバへ仮想マシンを移動させたりといった柔軟な運用が可能になります。

4. データ保存と共有の構成

この章では、データをどこに置き、どのように保護・共有するかという観点から、NASとRAIDの構成を取り上げます。業務データはシステムの生命線であり、容量の確保だけでなく、故障に備えた仕組みが欠かせません。

NAS(Network Attached Storage)

NASは、ネットワークに直接接続して利用するファイルサーバ専用機のことです。利用者のPCからは、ネットワーク上の共有フォルダとして見え、通常のファイル操作とほぼ同じ感覚で利用できます。社内の文書や共有資料を一か所に集約するために使われることが多くなっています。

NASを使うことで、ユーザごとのアクセス権を設定しながら、ファイルを集中管理できます。バックアップの対象もNASに集約できるため、運用もシンプルになります。また、専用機として設計されているため、性能や信頼性を高めるための機能(RAIDやホットスワップなど)があらかじめ組み込まれていることも多いです。一方で、NAS自体に障害が発生した場合の影響は大きいため、冗長電源や予備機の用意など、重要度に応じた対策が必要です。

RAID

RAIDは、複数台のハードディスクをまとめて1台のディスクのように扱い、信頼性や性能を高める技術です。代表的なレベルとして、データを分散して高速化するRAID0、同じデータを2重に書き込むRAID1、誤り訂正に必要なパリティ情報を持つRAID5などがあります。NASやサーバの内部ストレージでよく利用されています。

RAIDを利用すると、1台のディスクが故障しても、データを失わずに稼働を継続できる構成を実現できます。たとえばRAID1では、片方のディスクが壊れても、もう片方のディスクから読み出すことでサービスを続けられます。ただし、RAIDは「故障に強くする」仕組みであり、「バックアップの代わり」ではない点を理解しておくことが重要です。誤ってファイルを削除した場合などには、RAID構成でもデータは失われてしまうため、別途バックアップを取る必要があります。

まとめ

システム構成を理解するうえでは、「どこで処理を行うか」「どこにデータを置くか」「故障したらどうするか」という3つの視点を意識すると整理しやすくなります。クライアントサーバシステムやWebシステム、シンクライアント、ピアツーピアなどは、利用者とサーバの関係を決める構成であり、業務のスタイルやセキュリティポリシーに大きく影響します。

一方、仮想化・VM・VDI・マイグレーションなどは、物理的な制約を超えてシステムを柔軟に運用するための仕組みです。サーバをまとめたり移動させたりすることで、コスト削減と可用性向上を両立させることができます。さらに、デュアルシステム、デュプレックスシステム、クラスタ、RAID、NASといった構成は、障害に備えてサービスを止めないための重要なピースとして機能します。

これらの用語は一つ一つ暗記するだけでなく、「どのような目的で採用される構成なのか」「どの構成と組み合わせて使われることが多いのか」をセットで押さえておくことが大切です。頭の中で簡単な構成図を思い浮かべられるようになると、問題文の説明から用語を逆に当てる力も身についてきます。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
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