【ITパスポート試験】No.071|アジャイル

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本記事では、変化の激しい時代に合ったソフトウェア開発手法である「アジャイル」について解説します。アジャイルの特徴から、XPやスクラムといった代表的なスタイル、テスト駆動開発やリファクタリングなどの日々のプラクティス、さらにプロダクトバックログやスプリントといった用語まで、試験で押さえたいポイントを一通り整理していきます。


目次

1. アジャイル開発の考え方とXP

この章では、アジャイル開発がどんな考え方に基づいた軽量な開発手法なのかを整理し、その代表例であるXP(エクストリームプログラミング)に触れます。まずはウォーターフォールとの違いをイメージするところから始めましょう。

アジャイル開発とは

アジャイル開発とは、変化する要求や環境に素早く適応することを目的とした、軽量なソフトウェア開発手法の総称です。従来のように最初に仕様を細かく決め切ってから一気に作るのではなく、短いサイクルで少しずつ開発し、その都度ユーザーのフィードバックを受けながら軌道修正していきます。

アジャイルでは、分厚い文書よりも動くソフトウェア、厳密な契約よりも顧客との対話を重視します。そのため、計画はあえて大まかにしておき、状況の変化に応じて柔軟に更新していく姿勢が特徴です。これにより、仕様変更が前提のようなプロジェクトでも、価値の高い機能から順に提供していくことができます。

XP(エクストリームプログラミング)

XP(エクストリームプログラミング)は、アジャイル開発手法の一つで、品質向上と開発スピードの両立を目指したプラクティスの集合です。テスト駆動開発やペアプログラミング、リファクタリング、継続的インテグレーションなど、後ほど紹介する多くのアジャイルな実践がXPから広まりました。

XPでは、「変化は避けられないもの」と考え、頻繁なリリースと継続的な改善を前提に開発を進めます。開発者と顧客が近い距離でコミュニケーションを取りながら進める点も特徴で、小規模〜中規模のチームで特に力を発揮します。


2. アジャイルを支える日々のプラクティス

この章では、アジャイル開発の現場でよく使われる具体的なプラクティス(実践方法)を紹介します。名前だけ覚えるのではなく、「何のためにやるのか」をセットで理解しておくと試験でも迷いにくくなります。

ユーザーストーリー

ユーザーストーリーは、「誰が・何のために・何をしたいか」を短い一文で表現した要求の書き方です。例えば「営業担当として、外出先から受注状況を確認できるようにしたい」といった形で、ユーザーの視点から機能の目的を表します。

細かい仕様ではなく「価値」に着目している点がポイントで、優先順位付けや見積り、スプリント計画の単位としても扱いやすくなります。

テスト駆動開発

テスト駆動開発(TDD)は、「テストを先に書き、そのテストを通す最小限のコードを書く」という順番で開発する手法です。まず望ましい振る舞いをテストコードとして定義し、そのテストが失敗することを確認してから、テストに合格するように実装を行います。

このサイクルを繰り返すことで、仕様がテストとして常にコードのそばに存在し、リファクタリングや機能追加をしても、テストが守ってくれる状態を作り出せます。

ペアプログラミング

ペアプログラミングは、1台のPCを2人で共有し、1人がキーボードを操作(ドライバー)、もう1人がコードをレビューしたり設計を考えたりする(ナビゲーター)スタイルで開発する手法です。役割を交代しながら進めることで、知識の共有やバグの早期発見につながります。

効率が悪そうに見えますが、後の手戻りを減らしたり、新人の教育を兼ねたりできるため、結果としてチーム全体の生産性向上に寄与する場合が多くあります。

リファクタリング

リファクタリングとは、外から見た振る舞いを変えずに、ソースコードの内部構造を改善することです。重複コードの整理、分かりにくい名前の修正、大きな関数の分割などを通じて、読みやすく保守しやすいコードに整えていきます。

アジャイル開発では、機能追加や変更が頻繁に発生するため、リファクタリングを継続的に行うことで「変更しやすい設計」を維持することが重要になります。テスト駆動開発と組み合わせることで、安心してリファクタリングできる環境が整います。

ふりかえり(レトロスペクティブ)

ふりかえり(レトロスペクティブ)は、一定期間の開発が一区切りついたタイミングで、「うまくいったこと」「問題だったこと」「次に改善したいこと」などをチームで話し合う場です。単に反省するだけでなく、具体的な改善アクションを決めて次のサイクルに活かしていきます。

アジャイル開発では、プロセスそのものも継続的に改善していくことが重視されます。ふりかえりを続けることで、チームの働き方やコミュニケーションの質も徐々に良くなっていきます。


3. 継続的インテグレーション(CI)

この章では、アジャイル開発を技術面から支える重要な仕組みである継続的インテグレーション(CI)について説明します。

継続的インテグレーション(CI:Continuous Integration)

継続的インテグレーション(CI)は、開発者が少しずつ頻繁にコードを共有リポジトリへ統合し、そのたびに自動ビルドや自動テストを実行する仕組みです。これにより、マージの問題やバグを早い段階で発見でき、大規模な統合作業でトラブルが起こるリスクを減らせます。

CI環境が整っていると、コードを変更してもすぐにテスト結果が返ってくるため、開発者は安心して小さな変更を積み重ねていけます。アジャイルが目指す「頻繁なリリース」「継続的な改善」を実現するための、土台となる技術的プラクティスといえます。


4. スクラムで進めるアジャイル開発

この章では、アジャイル開発の代表的なフレームワークであるスクラムと、その中で使われる用語を整理します。役割やイベント、成果物の関係をセットでイメージできるようにしておきましょう。

スクラム

スクラムは、アジャイル開発を実践するための枠組み(フレームワーク)の一つで、短い期間(スプリント)ごとに計画・開発・レビュー・ふりかえりを繰り返す進め方を採用します。スクラム自体は細かい技術手法を規定しているわけではなく、チームの役割やイベント、作成する成果物を定めることで、自己組織化されたチームによる開発を促します。

スクラムでは、透明性・検査・適応という3つの柱を重視し、常に状況を可視化しながら、必要に応じてやり方や計画を調整していきます。

スクラムチーム(プロダクトオーナー、開発者、スクラムマスター)

スクラムチームは、プロダクトオーナー、開発者、スクラムマスターから構成されます。プロダクトオーナーは、顧客や事業の代表として、「何を作るべきか」を決め、プロダクトバックログの優先順位を管理します。

開発者は、実際に機能を実装したりテストしたりする人たちで、スプリント内で約束した成果を完成させる責任を持ちます。スクラムマスターは、スクラムの考え方が正しく実践されるよう支援し、チームが自律的に働けるように障害を取り除く役割を担います。

この3つの役割が協力し合うことで、短いサイクルで価値のある成果を継続的に生み出していきます。

スプリント

スプリントは、スクラムにおける開発の単位となる一定期間で、通常1〜4週間程度に設定されます。この期間中に、チームはスプリントバックログに挙げられた項目を完了させ、「ここまで完成した」といえるインクリメント(完成した成果物)を作り上げます。

スプリントは、計画、日々の進捗確認(デイリースクラム)、成果のレビュー、ふりかえりという一連のイベントを含んでおり、このサイクルを繰り返すことで、少しずつプロダクトを成長させていきます。

プロダクトバックログ

プロダクトバックログは、プロダクトに必要な機能や改善項目、バグ修正などを一覧にしたものです。1つ1つの項目は、ユーザーストーリーなどの形で記述され、プロダクトオーナーが価値や緊急度に応じて優先順位をつけます。

スプリントごとに、上位の項目から順に取り出してスプリントバックログに移していくため、プロダクトバックログは「やりたいことの全体像」を表すリストとして機能します。

スプリントバックログ

スプリントバックログは、特定のスプリントで実施する作業の一覧です。プロダクトバックログから選び出した項目を、より具体的なタスクレベルまで分解し、「今回のスプリントでこれを完了させる」という約束事としてチーム内で共有します。

スプリント中は、スプリントバックログの進捗を見ながら、作業の割り振りや優先度を調整していきます。スプリント終了時点で、スプリントバックログの項目が完了していれば、その分だけプロダクトが成長したことになります。


まとめ

本記事では、アジャイル開発が「迅速かつ適応的にソフトウェア開発を行う軽量な開発手法」であることを確認し、その代表例としてXPやスクラムを取り上げました。アジャイルでは、大きな計画を一度で決めるのではなく、短いサイクルで動くソフトウェアを作りながら、ユーザーのフィードバックを取り込んでいく姿勢が重要です。

併せて、ユーザーストーリー、テスト駆動開発、ペアプログラミング、リファクタリング、ふりかえり、継続的インテグレーション(CI)といったプラクティスが、アジャイルを技術面・プロセス面から支えていることも整理しました。これらは、品質を保ちながら変化に対応し続けるための具体的な工夫です。

さらに、スクラムにおけるスクラムチーム、スプリント、プロダクトバックログ、スプリントバックログの役割や関係も確認しました。ITパスポート試験では、これらの用語の意味だけでなく、「アジャイル開発ではなぜこうした仕組みが必要なのか」という背景を一緒にイメージしておくと、問題文を読んだときに正しい選択肢を選びやすくなります。アジャイルを、単なる流行語ではなく「変化を前提とした開発のスタイル」として捉えておくとよいでしょう。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

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