本記事では、代表的なソフトウェア開発手法のねらいと特徴を解説します。従来から使われている構造化手法・オブジェクト指向に加え、要件整理に役立つユースケースやUML、そして近年重要度が増しているDevOpsやMLOpsまでを、流れの中で整理していきます。
1. ソフトウェア開発手法の基本的な考え方

この章では、ソフトウェア開発手法とは何か、そして代表的な手法である構造化手法とオブジェクト指向の考え方を整理します。どの手法も「品質の高いソフトウェアを効率よく作る」ことを目的としている点を意識しながら読み進めてください。
構造化手法
構造化手法は、ソフトウェアを「入力 → 処理 → 出力」といった処理の流れとして捉え、その流れを階層的・論理的に分解しながら設計・開発していく考え方です。フローチャートや構造化図(階層構造の図)を使って、複雑な処理を小さな処理の組み合わせとして整理していきます。
この手法では、プログラムを順次・選択・反復といった基本制御構造の組み合わせで記述することが重視されます。その結果、処理の流れが追いやすくなり、バグの発見や修正がしやすくなるという利点があります。主に手続き型言語(C言語など)と相性がよく、古くから多くの業務システムで採用されてきました。
オブジェクト指向
オブジェクト指向は、現実世界の「モノ」や「概念」をオブジェクトとして捉え、それらの属性(データ)と振る舞い(メソッド)をひとまとまりにして設計・実装していく考え方です。たとえば「顧客」「商品」「注文」などをオブジェクトとして扱い、それぞれが自分に関係する処理を持つイメージです。
オブジェクト指向では、カプセル化・継承・多態性といった特徴を利用することで、再利用しやすく、変更に強い設計を目指します。同じような処理をクラスとしてまとめておけば、似たシステムでも部品を流用しやすくなり、保守や拡張がしやすくなるのが大きなメリットです。JavaやC++、C#など、現在広く使われている多くの言語は、このオブジェクト指向を前提としています。
2. 要件から設計へつなぐ表現方法

この章では、利用者の視点からシステム要件を整理し、それを設計に橋渡しするためのユースケースとUMLについて解説します。どちらもオブジェクト指向と組み合わせて使われることが多い表現方法です。
ユースケース
ユースケースは、「利用者がシステムをどのように使うか」をシナリオとして表現する手法です。システムの外側から見たときに、「誰(アクター)が」「何を達成するために」「どのような手順で」システムを利用するのかを文章や図でまとめます。
たとえば「顧客がWebサイトから商品を注文する」「管理者が在庫を補充する」といった一連の流れがユースケースです。ユースケースを整理することで、利用者にとって必要な機能が漏れていないかをチェックしやすくなり、要件定義の段階で関係者の認識を合わせるのに役立ちます。
UML(Unified Modeling Language)
UMLは、オブジェクト指向の分析・設計で広く使われる標準的なモデリング表記法です。ソフトウェアの構造や挙動を図として表現するための「共通言語」のようなものと考えると分かりやすいです。
代表的な図として、クラス図(クラス同士の関係を表す)、ユースケース図(ユースケースとアクターの関係を表す)、シーケンス図(オブジェクト間のやり取りの順序を表す)などがあります。UMLを使うことで、開発者同士だけでなく、利用者や関係者との間でもシステムの構造を視覚的に共有しやすくなります。
3. 開発から運用までをつなぐ最新の手法

この章では、近年のソフトウェア開発で重要になっているDevOpsとMLOpsについて解説します。どちらも「作って終わり」ではなく、運用と改善を素早く回していく考え方が特徴です。
DevOps
DevOpsは、「Development(開発)」と「Operations(運用)」を組み合わせた言葉で、開発チームと運用チームが密に連携しながら、短いサイクルでソフトウェアを改善し続ける考え方です。従来は、開発が終わったあとに運用へ引き渡す、という分断された進め方が一般的でしたが、DevOpsでは、企画・開発・テスト・運用・監視を一体のプロセスとして扱います。
継続的インテグレーション(CI)や継続的デリバリ(CD)といった自動化の仕組みを活用し、コードの変更が迅速かつ安全に本番環境へ反映できるようにします。これにより、ユーザからのフィードバックを素早く取り込み、サービスを継続的に改善していくことが可能になります。
MLOps
MLOpsは、「Machine Learning(機械学習)」と「Operations(運用)」を組み合わせた言葉で、機械学習モデルの開発から運用・改善までを継続的に回すための考え方や仕組みを指します。機械学習では、データの収集・前処理・学習・評価・デプロイ・監視といったステップがあり、モデルを一度作って終わりではなく、データの変化に応じて更新し続ける必要があります。
MLOpsでは、データとモデルのバージョン管理、学習・評価プロセスの自動化、本番環境でのモデルの性能監視などを組み合わせて、安定してAIをサービスとして提供できる体制を整えます。DevOpsの考え方を機械学習の領域に適用したものと捉えると理解しやすいでしょう。
まとめ
本記事では、代表的なソフトウェア開発手法として、処理の流れを重視する構造化手法と、現実世界の「モノ」を中心に設計するオブジェクト指向を確認しました。どちらも、複雑なソフトウェアを整理し、理解しやすく保守しやすい形に分解していくための考え方です。
また、利用者の視点からシステムの利用シナリオを整理するユースケースと、その内容を図として共有するための標準表記であるUMLについても解説しました。これらは要件から設計への橋渡し役として、関係者の認識をそろえるのに大きく貢献します。
さらに、開発と運用を一体として捉えるDevOpsと、機械学習モデルのライフサイクル全体を管理するMLOpsという、近年注目されている手法にも触れました。ソフトウェア開発手法は時代とともに進化していますが、「品質を高めつつ素早く価値を届ける」という基本的なねらいは共通しています。各手法の特徴と位置づけを押さえ、どの場面でどの考え方が活きるのかイメージしておくと学習にも実務にも役立ちます。


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