【ITパスポート試験】No.062|調達の流れ

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本記事では、情報システムを導入するときの「調達の流れ」について解説します。RFI・RFPといった用語を押さえながら、ベンダーから提案書や見積書を受け取り、比較評価し、契約・検収へ進む一連のプロセスを整理します。あわせて、グリーン調達やAI・データの利用に関する契約ガイドラインといった、近年重要性が高まっている考え方も紹介します。


目次

1. 情報システム調達プロセスの全体像

この章では、情報システム調達の全体的な流れをざっくりと押さえます。調達は「ベンダーを選んで契約するだけ」ではなく、事前の情報収集から受入れ・検収まで続く、長いプロセスであることを理解しておきましょう。

調達の基本ステップ

情報システムの調達は、一般的に次のようなステップで進みます。
まず、候補となるベンダーや製品について情報を集める段階から始まり、続いてRFP(提案依頼書)をベンダーに配付して具体的な提案を募ります。集まった提案書や見積書を、あらかじめ決めた選定基準に照らして比較評価し、その結果をもとに調達先を選定します。

調達先が決まったら、契約条件を詰めて契約を締結し、システムの納入・受入れ・検収を行います。検収とは、納品された成果物が契約どおりかどうかを確認する工程であり、ここで問題がなければ正式に調達完了となります。このように、調達は多くのステップから構成される計画的な活動だと押さえておきましょう。


2. RFIとRFPによる情報収集と提案依頼

この章では、調達の前半で重要となるRFI(情報提供依頼)とRFP(提案依頼書)の役割について説明します。システムを購入する側が主導して進める、調達プロセスの出発点です。

RFIで市場情報を集める

RFI(Request For Information)は、情報提供依頼とも呼ばれ、ベンダーに対して「どのような製品・サービスがあるのか」「どの程度の価格帯なのか」などの情報提供を求める文書です。まだ具体的な仕様や構成が固まっていない段階で、市場の状況を把握するために活用されます。

RFIの回答を分析することで、自社のニーズに合いそうな技術やサービスの種類、候補となるベンダーの一覧が見えてきます。その結果を踏まえ、「どの範囲をシステム化するか」「どんな方式が現実的か」といった検討を進めていきます。

RFPで具体的な提案を依頼する

RFP(Request For Proposal)は、提案依頼書と呼ばれ、ベンダーに対して「このような業務をこの範囲でシステム化したいので、具体的な提案をしてください」と依頼するための文書です。RFPには、業務の背景や目的、求める機能の概要、非機能要件、納期の希望、提案書に含めてほしい項目などを記載します。

RFPを適切に作成・配付することで、各ベンダーから内容を比較しやすい提案書を受け取ることができます。RFPがあいまいだと、ベンダーごとに提案の前提がばらばらになり、公平な比較が難しくなるため、調達側にとって重要な文書だといえます。


3. 提案評価から契約・検収までの流れ

この章では、ベンダーからの提案書・見積書をどのように評価し、契約締結・受入れ・検収へ進めていくかを整理します。選定基準を事前に決めておくことが、公平な調達につながります。

選定基準の作成と比較評価

RFPを配付した後、ベンダーから提案書と見積書が届きます。これらを評価するために、事前に「選定基準」を作成しておきます。選定基準には、機能面の充実度、性能・信頼性、運用性、拡張性、セキュリティ、価格、ベンダーの実績やサポート体制など、評価する観点を列挙します。

各観点ごとに重み付けを行い、提案内容を点数化して比較すると、感覚に頼らず、客観的にベンダーを選びやすくなります。このような比較評価の結果をもとに、最終的な調達先を決定します。

調達先の選定と契約締結

比較評価の結果を踏まえ、最も自社の要件に合うベンダーを調達先として選定します。選定後は、契約条件の詳細を詰めていきます。契約書には、納期や価格だけでなく、検収条件、保守・サポート内容、責任範囲、著作権や知的財産権の扱い、障害発生時の対応などを明確にしておきます。

契約締結は、後からトラブルが発生した際の重要な拠り所になるため、内容を十分に確認したうえで合意することが求められます。

受入れ・検収で成果物を確認する

システムの開発・導入が完了したら、受入れ・検収の工程に進みます。ここでは、契約や仕様書に定めた要件どおりにシステムが動作しているかを確認します。テスト結果やマニュアルの有無、性能・セキュリティ要件の満たし具合などもチェック対象となります。

検収で問題がなければ、正式な受入れとなり、支払い手続きや保守契約の開始へと進みます。逆に不具合や未完了の項目が見つかった場合は、契約に基づき、修正や追加対応を依頼します。


4. 環境配慮とAI・データ利用を意識した調達

この章では、用語例として挙げられているグリーン調達と、AI・データの利用に関する契約ガイドラインについて解説します。どちらも、これからの情報システム調達で意識しておきたい観点です。

グリーン調達

グリーン調達とは、調達の際に、価格や性能だけでなく、環境への負荷が小さい製品・サービスを優先的に選ぶ考え方です。具体的には、省電力性能の高い機器、リサイクルしやすい部材を使った製品、環境マネジメントに取り組むベンダーなどを評価対象とします。

情報システムの分野でも、サーバの消費電力やデータセンタの省エネ性能、廃棄時のリサイクル方針などが重要視されるようになっています。グリーン調達の観点を取り入れることで、企業としての環境責任を果たしながら、長期的なエネルギーコスト削減も期待できます。

AI・データの利用に関する契約ガイドライン

AIやデータを活用したサービスを調達する際には、データの取り扱いや権利関係、AIの出力の責任範囲など、従来とは異なる観点の確認が必要になります。その参考となるのが、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」といった指針です。

この種のガイドラインでは、データを誰がどの範囲で利用できるのか、二次利用の可否、学習用データとして利用する場合の扱い、AIの判断結果に誤りがあった場合の責任分担などについて、契約で確認・明記すべきポイントが整理されています。情報システム調達の場面でも、これらの観点を踏まえて契約条項を検討することで、後のトラブルを防ぎやすくなります。


まとめ

本記事では、情報システムの調達の流れについて、RFIによる情報収集からRFPの作成・配付、選定基準に基づく提案評価、調達先の選定、契約締結、そして受入れ・検収までの一連のプロセスを整理しました。調達は、単に見積りを比べて安いところを選ぶのではなく、事前準備と評価の仕組みづくりが重要であることが分かります。

また、調達プロセスの中では、RFIとRFPがそれぞれ「市場を知るための文書」「具体的な提案を依頼する文書」として役割を担い、選定基準を明確にすることで公平かつ合理的な比較評価が可能になることを確認しました。契約書では、価格や納期だけでなく、検収条件や責任範囲などをきちんと取り決めておくことが、後のトラブル防止につながります。

さらに、グリーン調達やAI・データの利用に関する契約ガイドラインなど、新しい時代の調達で意識すべき視点にも触れました。環境への配慮やデータ・AIに関する権利と責任を踏まえた契約は、企業の信頼性を高めるうえでも重要です。調達の流れとこれらのキーワードを結び付けて理解しておくと、試験の学習だけでなく、実務で情報システムを導入する際にも大いに役立ちます。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

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