【ITパスポート試験】No.061|業務要件定義

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本記事では、「業務要件定義」とは何かを整理しながら、利用者の要求の調査や調査内容の分析、現行業務の分析、業務要件・機能要件・非機能要件の定義、そして要件の合意までの流れを解説します。経営戦略やシステム戦略、利用者のニーズを踏まえてシステムに求める機能や条件を決めていく一連のプロセスを、イメージしやすい形で押さえていきましょう。


目次

1. 業務要件定義の役割と全体像

この章では、業務要件定義という作業の目的と、経営戦略・システム戦略・利用者ニーズとの関係を整理します。なぜシステム開発の初期にこの作業が重要なのかを理解しておくことが、後の章で紹介する各ステップを学ぶうえでの土台になります。

業務要件定義とは

業務要件定義とは、経営戦略やシステム戦略、そして利用者のニーズを踏まえて、「新しいシステムに何をしてほしいのか」を業務の観点から明らかにする作業です。たとえば「受注から出荷までのリードタイムを短縮したい」「在庫情報をリアルタイムで把握したい」など、経営上・業務上の目的を達成するために必要なことを整理していきます。

ここではまだ細かい画面構成や技術方式までは踏み込みません。あくまで、「どんな業務をどのような姿にしたいのか」というビジネス側の要望を、システムで実現可能な形に言語化していくことがポイントです。業務要件があいまいなまま開発に進むと、「出来上がったシステムが現場の役に立たない」といったトラブルにつながるため、最初の段階でしっかり時間をかける必要があります。


2. 要件を見つけるための調査と分析

この章では、業務要件を洗い出すために行う調査や分析について解説します。いきなり要件を書き始めるのではなく、現場の声や実際の業務の流れを丁寧に把握するステップが重要になります。

利用者の要求の調査

利用者の要求の調査では、システムを実際に利用する現場担当者や管理者などから、要望や困りごとをヒアリングしたりアンケートをとったりします。「どの作業に時間がかかっているか」「どんな情報が足りないと感じているか」「既存システムの不満点は何か」といった具体的な声を集めることが目的です。

この段階では、解決策をすぐに決めようとせず、まずは事実や感じている課題を幅広く吸い上げることが大切です。利用者の生の声を押さえておくことで、後で要件を検討する際に「誰のためのシステムなのか」を見失わずにすみます。

調査内容の分析

調査内容の分析では、集めた意見や要望を整理し、共通する課題や優先度の高い問題を見極めていきます。似た内容の要求をグループ化したり、「よくある困りごと」と「一部の人だけの特殊な要望」を区別したりする作業が中心です。

また、要求の背景にある真の目的を探ることも重要です。たとえば「画面をもっとシンプルにしてほしい」という要望の裏には、「入力ミスを減らしたい」「新人でもすぐに使えるようにしたい」といった目的が隠れているかもしれません。このように、表面上の意見をそのまま並べるのではなく、業務全体の視点から意味づけを行うことが、分析のポイントになります。

現行業務の分析

現行業務の分析では、今行われている業務の流れやルール、関係部門とのやり取りなどを明らかにします。業務フロー図を描いたり、実際の帳票や画面を確認したりしながら、「どこにムダや重複があるか」「どの作業がボトルネックになっているか」を見つけていきます。

この分析によって、「本当にシステム化すべき部分」と「業務手順を見直すだけで改善できる部分」を切り分けることができます。業務要件定義は、単に今のやり方をシステムに置き換えるのではなく、より良い業務プロセスを検討する機会でもある、と理解しておくとよいでしょう。


3. 要件を整理して文書化する

この章では、調査・分析の結果をもとに、業務要件や機能要件・非機能要件として整理し、文書にまとめていくステップについて解説します。ここで作る要件定義書が、後続工程の重要な基準となります。

業務要件の定義

業務要件の定義では、「どのような業務をどのような状態にしたいか」を業務の言葉で整理します。たとえば、「受注情報を一元管理し、どの部署からでも最新状況を確認できること」「在庫数が一定以下になったら自動的にアラートを出すこと」といった形です。

ここでは、システムの細かな画面やボタンの配置ではなく、「業務プロセスとしてどのような機能・情報が必要か」を中心に記述します。経営戦略やシステム戦略との整合が取れているかも、あわせて確認しながら定義していきます。

機能要件の定義

機能要件の定義では、業務要件を実現するためにシステムが備えるべき具体的な機能を整理します。「受注登録機能」「在庫照会機能」「承認ワークフロー機能」など、システムが何をするのかを明確にしていきます。

機能要件は、後の設計やプログラム開発で直接参照される内容です。そのため、あいまいな表現を避け、「誰が」「どの画面から」「どんな処理を行うのか」といった観点を意識して書くことが求められます。

非機能要件の定義

非機能要件の定義では、「システムがどのように動作すべきか」という観点を整理します。たとえば、「同時接続ユーザ数」「応答時間」「稼働時間(24時間365日など)」「バックアップ方法」「セキュリティレベル」「操作性」といった項目です。

これらは直接の業務機能ではありませんが、システムの使い勝手や信頼性を左右する非常に重要な要素です。非機能要件をきちんと定義しておかないと、「使ってみたら遅くて業務にならない」「障害時の復旧手順が決まっていない」といった問題が発生しやすくなります。


4. 要件の合意とプロジェクトへの橋渡し

この章では、定義した要件を関係者間で合意し、システム開発プロジェクトへ引き継いでいくプロセスについて説明します。ここでの認識合わせが不十分だと、後の工程で大きな手戻りを生む原因となります。

要件の合意

要件の合意とは、まとめた業務要件・機能要件・非機能要件の内容について、利用者側(業務部門)とシステム側(情報システム部門やベンダ)など関係者全員が内容を理解し、「この方針でシステムを作っていく」ことを正式に確認することです。

合意の場では、文書の内容を一つひとつ確認し、不明点や懸念点があればその場で議論して修正します。最終的に承認された要件定義書は、以降の開発・テスト・受け入れの基準となるため、とても重要な成果物です。

この合意をしっかり行うことで、「そんな仕様だとは思わなかった」「ここまでできるとは聞いていなかった」といった後出しのトラブルを減らすことができ、プロジェクト全体のスムーズな進行につながります。


まとめ

本記事では、経営戦略やシステム戦略、利用者のニーズを踏まえて、システムに求める機能や条件を明らかにする「業務要件定義」について解説しました。業務要件定義は、単に希望を並べる作業ではなく、事業目的と現場の実態を踏まえて、どのような業務をどのような姿にしたいのかを整理する重要なプロセスであることを確認しました。

そのうえで、利用者の要求の調査・調査内容の分析・現行業務の分析を通じて現状と課題を把握し、業務要件・機能要件・非機能要件として整理して文書化する流れを見てきました。これらを具体的に定義することで、システム開発の設計や実装の指針が明確になり、完成したシステムが業務にフィットしやすくなります。

最後に、要件の合意を通じて関係者全員が同じ認識を持つことが、プロジェクト成功の鍵である点も押さえました。業務要件定義は、ITパスポート試験でも頻出のテーマですが、実務においてもシステム開発の出発点となる重要なステップです。試験勉強では、用語を暗記するだけでなく、「なぜこの順番で何をしているのか」という流れとして理解しておくと役立ちます。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
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