本記事では、情報システムが実際にどのように使われ、どれだけ効果を上げているのかを評価・検証する考え方について解説します。投資対効果や利用者満足度といった観点に加え、時代に合わなくなったレガシーシステムをどのように見直し、廃棄・刷新していくかまでを、関連用語とともに整理していきます。
1. 情報システムの効果を数字と声で確かめる

この章では、情報システムが本当に役に立っているかを、「数字」と「利用者の声」という二つの観点から評価する方法を確認します。システム導入後の状況を客観的に把握することで、次の改善につなげられるようになります。
費用対効果分析
費用対効果分析は、情報システムに投資した費用と、その結果得られた効果を比較・評価する手法です。ハードウェアやソフトウェアの購入費用だけでなく、導入作業や教育、保守などにかかるコストも含めて「費用」として捉えます。一方の「効果」には、売上増加やコスト削減、作業時間の短縮、ミスの減少などが含まれます。
たとえば、受発注システムを導入した結果、入力作業時間が大幅に減り、残業時間が削減できた場合、その削減された人件費を金額として見積もることで、投資額との比較が可能になります。費用対効果分析を行うことで、導入したシステムが投資に見合っているか、今後も継続して使うべきかを判断しやすくなります。
利用者満足度調査
利用者満足度調査は、情報システムを実際に使っている社員や関係者にアンケートなどを行い、使いやすさや機能、応答速度、サポート体制などに対する満足度を把握する取り組みです。数値として表れにくい「使いづらさ」「ストレスの有無」などを知るうえで重要な手段となります。
調査結果からは、「画面遷移が多くて入力に時間がかかる」「マニュアルが分かりにくい」など、具体的な改善ポイントが見えてきます。費用対効果分析だけでは分からない利用者の感覚を、満足度調査で補うことで、よりバランスの取れたシステム評価が可能になります。
2. 維持管理コストとライフサイクルを意識した評価

この章では、情報システムが導入されてから廃棄されるまでの長い期間を見通し、維持管理にかかるコストやライフサイクル全体の視点から評価する考え方を整理します。一時的な費用だけでなく、「長く使うほど何が増えていくのか」を意識することが重要です。
メンテナンスコスト
メンテナンスコストとは、情報システムを運用し続けるために、日々発生する維持・保守のための費用です。具体的には、ソフトウェアのバージョンアップ、障害対応、セキュリティパッチの適用、ハードウェア故障時の交換、保守契約費用などが含まれます。
導入時には見えにくいコストですが、システムを長く使うほど積み重なっていきます。そのため、情報システムの評価では、単に導入費用だけを見るのではなく、メンテナンスコストを含めた総費用で考えることが大切です。これを踏まえると、「導入費用は安いが維持費が高いシステム」と「導入費用は高いが維持費が低いシステム」のどちらが得か、といった比較もできるようになります。
システムライフサイクル
システムライフサイクルとは、情報システムが企画・構想されてから、開発・導入・運用・保守を経て、最終的に廃棄されるまでの一連の期間と流れを指します。システムは導入したら終わりではなく、技術や業務の変化に応じて改修や機能追加が行われ、やがては役目を終えて置き換えられます。
ライフサイクル全体を意識して評価することで、「今は順調に動いているが、数年後にはサポートが終了してしまう」「ハードウェア更新のタイミングが近づいている」といった将来的な課題にも気づきやすくなります。投資対効果やメンテナンスコストの検討も、このライフサイクルの考え方とセットで捉えることが望まれます。
3. レガシーシステムの見直しと刷新

この章では、長年使われてきたレガシーシステムを、時代の変化に合わせてどのように見直すかを考えます。安全性や効率性が低下したシステムをそのまま使い続けるリスクと、廃棄・刷新によって得られるメリットを理解しておくことが重要です。
レガシーシステムの廃棄
レガシーシステムとは、長期間にわたり使われてきた古い情報システムのことで、ハードウェアやソフトウェアの老朽化、保守部品の入手困難、担当者の高齢化などが問題となる場合があります。さらに、セキュリティ更新が行われなくなったOSやミドルウェアを使い続けることは、安全性の面でも大きなリスクとなります。
こうしたレガシーシステムは、時代の変化に伴って効率性や安全性が低下している可能性が高いため、廃棄を含めた見直しが求められます。廃棄にあたっては、データをどのように移行・保管するか、残しておく必要のある機能は何か、といった点を整理したうえで、計画的に段階を踏んで進めることが重要です。
レガシーシステムの刷新
レガシーシステムの刷新とは、古いシステムを完全に置き換えたり、段階的に新しい技術へ移行したりして、現代のニーズに合った形へ更新する取り組みです。クラウドサービスへの移行や、オープンな技術への乗り換え、業務プロセスの見直しを伴う再構築など、さまざまな方法があります。
刷新には一定の費用と時間がかかりますが、その一方で、保守要員の確保が容易になったり、新しい機能を取り入れやすくなったり、セキュリティレベルを向上させられたりするメリットがあります。費用対効果分析や利用者満足度調査の結果も参考にしながら、「いつ、どのような形で刷新するのが最も合理的か」を検討していくことがポイントです。
まとめ
本記事では、情報システム利用実態の評価・検証という観点から、投資対効果や利用者満足度の確認、メンテナンスコストやライフサイクルを踏まえた長期的な視点、そしてレガシーシステムの廃棄・刷新の重要性について整理しました。システムは導入して終わりではなく、「今どれだけ役に立っているか」を継続的に測り続けることが欠かせません。
費用対効果分析では数字面から、利用者満足度調査では現場の声から、システムの良し悪しや改善点を把握できます。これにメンテナンスコストやライフサイクルの考え方を加えることで、短期的なコストだけにとらわれない、バランスの取れた評価が可能になります。
また、技術やビジネス環境の変化に伴い、レガシーシステムをいつまでも使い続けることは、安全性や効率性の面で大きなリスクとなります。計画的な廃棄と刷新を通じて、組織の情報システム全体を健全な状態に保つことが、将来の競争力や信頼性の確保にもつながります。情報システムの評価・検証を、継続的な改善サイクルの一部として位置づけておくことが重要です。


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