【ITパスポート試験】No.056|ソリューションの形態

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本記事では、システム化を進める際にどのような形でソリューションを導入できるのか、代表的なパターンと関連する用語を整理します。自社で開発するのか、既製品のパッケージを導入するのか、クラウドやアウトソーシングなど他社サービスを活用するのかといった選択肢を理解しておくことで、最適な形態を考えやすくなります。


目次

1. ソリューション導入方法の選び方

この章では、システム化におけるソリューションをどのような方法で導入するかという、大きな選択肢の違いを整理します。それぞれの特徴をつかんでおくと、後で出てくるクラウドやアウトソーシングといった用語も理解しやすくなります。

自社開発

自社開発とは、企業が自分たちの要件に合わせて、システムを一から設計・開発する方法です。業務にぴったり合った機能を作り込める点がメリットで、他社にはない独自の仕組みや強みをシステムで支えたい場合に向いています。

一方で、開発には時間もコストもかかり、運用・保守も自社で継続的に対応する必要があります。そのため、長期的な体制づくりやスキルの確保が求められます。

ソフトウェアパッケージ導入

ソフトウェアパッケージ導入は、会計ソフトや販売管理ソフトなど、すでに製品として完成しているソフトウェアを購入し、自社に合わせて設定して使う方法です。ある程度のカスタマイズで済む場合は、短期間で導入でき、費用も自社開発より抑えられることが多いです。

ただし、あくまで汎用的な製品であるため、自社の業務に完全にぴったり合うとは限りません。運用側で業務フローを少し変えるなど、「システムに業務を合わせる」工夫が必要になる場合もあります。

他社サービスの活用

他社サービスの活用とは、クラウドサービスやアウトソーシングなど、外部の事業者が提供するサービスを利用してシステム化を実現する方法です。自社でハードウェアを準備したり、ソフトウェアをインストールしたりせずに、インターネット経由でサービスを利用できるものも増えています。

必要なときに必要なだけ使える料金体系や、保守・運用を任せられる手軽さが大きなメリットです。一方で、自社で細かい部分まで自由に変更することは難しい場合があり、サービス提供者側の仕様やルールを理解した上で利用することが求められます。


2. クラウド型ソリューションの種類

この章では、他社サービスの代表例であるクラウドコンピューティングと、その中でよく出てくるサービス形態について解説します。似たようなアルファベットの略語が多いので、それぞれ「何をどこまで提供してくれるのか」に着目して整理すると理解しやすくなります。

クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングとは、インターネットを通じて、サーバやストレージ、アプリケーションなどのIT資源を必要に応じて利用できる仕組みの総称です。利用者は自社でサーバを購入・設置しなくても、ネットワークを通して遠隔のデータセンタにある資源を使うことができます。

従量課金や月額料金で利用できることが多く、利用量に応じて柔軟にスケールアップ・スケールダウンできる点が大きな特徴です。

SaaS(Software as a Service)

SaaSは、ソフトウェアそのものをインターネット経由で提供する形態です。利用者は、メールサービスやグループウェア、会計システムなどを、ブラウザなどからログインして利用します。

インストールやバージョンアップ、バックアップなどの管理はサービス提供者側が行うため、利用者側の負担が小さい点がメリットです。代表的な「クラウドのアプリ利用」のイメージに近い形態です。

PaaS(Platform as a Service)

PaaSは、アプリケーションを開発・実行するためのプラットフォームをサービスとして提供する形態です。OSやミドルウェア、データベースなどがあらかじめ用意されており、利用者はその上で自社のアプリケーションを開発・運用します。

サーバやOSの管理を意識せずに開発に集中できるため、開発効率を高めたい場合に適しています。ただし、提供者が用意した環境に依存する部分があるため、他の環境へ移行する際に制約が出ることもあります。

IaaS(Infrastructure as a Service)

IaaSは、サーバやストレージ、ネットワークなど、インフラ部分を仮想マシンとして提供する形態です。利用者は、用意された仮想サーバに自由にOSやミドルウェア、アプリケーションをインストールして利用できます。

自社で物理サーバを持つのに近い自由度を保ちながら、初期投資を抑えられる点が魅力です。その一方で、OSやミドルウェアの設定・保守は利用者側の責任範囲となるため、ある程度の技術力が必要になります。

DaaS(Desktop as a Service)

DaaSは、デスクトップ環境をクラウド上で提供するサービスです。利用者はネットワーク経由で仮想デスクトップに接続し、社内のPCと同じような環境をどこからでも利用できます。

端末側にはデータを残さずに業務ができるため、情報漏えい対策やテレワーク環境の整備に有効な選択肢となります。


3. クラウドサービスの提供形態

この章では、クラウドサービスを「誰のためのクラウドか」「どのように組み合わせて使うか」という観点で分類した提供形態について説明します。どれもクラウドであることに変わりはありませんが、利用者の範囲や運用の仕方に違いがあります。

クラウドサービスの提供形態

クラウドサービスの提供形態とは、クラウドをどのような形で提供し、誰が利用するのかといった区分を指します。代表的なものとして、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドなどがあります。

これらは、セキュリティやコスト、柔軟性などのバランスを考えて選択され、それぞれにメリット・デメリットがあります。

パブリッククラウド

パブリッククラウドは、不特定多数の利用者に対してインターネット経由で提供されるクラウドサービスです。サービス提供者が大規模な設備を用意し、多くの利用者で共有することで、低コストで利用できる点が魅力です。

一般的なクラウドサービスの多くは、このパブリッククラウドに分類されます。ただし、他社と共用の環境であるため、設計・運用面でセキュリティをしっかり確認することが重要です。

プライベートクラウド

プライベートクラウドは、特定の企業や組織だけが利用するために構築されたクラウド環境です。自社専用のクラウドとして、より高いセキュリティやカスタマイズ性を確保できます。

自社のデータセンタ内に構築する場合もあれば、外部の事業者が専用環境として提供する場合もあります。パブリッククラウドよりコストは高くなりやすいものの、機密性の高いシステムで採用されることがあります。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウド、さらにはオンプレミス環境などを組み合わせて利用する形態です。たとえば、機密性の高いデータはプライベートクラウドに置き、負荷変動の大きい部分だけパブリッククラウドを利用するといった使い方ができます。

システムごとに適切な環境を選べる柔軟性がメリットですが、複数の環境を連携させて運用するため、設計や管理が複雑になりやすい点には注意が必要です。

マルチクラウド

マルチクラウドは、複数のクラウド事業者のサービスを組み合わせて利用する形態です。特定ベンダへの依存を避けたり、サービスごとの得意分野を使い分けたりできる点がメリットです。

一方で、事業者ごとに仕様や管理方法が異なるため、統合的な運用管理が課題となるケースもあります。ポリシーや監視の仕組みを整えたうえでの利用が求められます。


4. システム構築・運用を支えるサービス形態

この章では、システムの構築や運用を他社に支援してもらう際に登場する代表的なサービス形態について解説します。どの範囲をどこに任せるのかを理解することで、役割分担のイメージがつかみやすくなります。

SI(System Integration)

SI(システムインテグレーション)とは、顧客の業務課題を踏まえ、複数のハードウェアやソフトウェア、ネットワークなどを組み合わせて、1つのシステムとして構築・導入するサービスです。SIを行う企業は、要件定義から設計、開発、テスト、導入、保守まで、プロジェクト全体をトータルで支援します。

企業側は、システム構築の専門家に一括して任せることで、複雑な調整を減らし、プロジェクトを進めやすくなります。

ASP(Application Service Provider)

ASPは、アプリケーションソフトをインターネット経由で提供する事業者、またはその提供形態を指します。ユーザはASP事業者が運用するアプリケーションをネットワーク越しに利用し、利用料を支払います。

考え方としてはSaaSに近く、以前からある用語です。ASPという言葉が出てきた場合も、「アプリケーションをサービスとして提供する形」と押さえておくと理解しやすくなります。

アウトソーシング

アウトソーシングは、本来は自社で行っていた業務を外部の専門会社に委託することです。情報システム分野では、運用・監視、ヘルプデスク、開発保守などを外部に任せるケースがあります。

自社の人員やコストをコア業務に集中させられる一方で、委託先との契約や管理が重要になります。サービス内容や責任範囲を明確にしておくことが欠かせません。

ホスティングサービス

ホスティングサービスは、サービス事業者が所有するサーバを、利用者が共有して利用する形態です。ウェブサイトやメールサーバなどを安価に導入したい場合によく利用されます。

利用者はサーバ機器を購入・設置する必要がなく、事業者側がハードウェアや回線をまとめて管理するため、手軽に利用できる点が特徴です。

ハウジングサービス

ハウジングサービスは、利用者が自社で所有するサーバ機器を、サービス事業者が用意したデータセンタ内に設置してもらう形態です。サーバそのものは利用者の所有ですが、電源設備や通信回線、空調、セキュリティなどのインフラを事業者の施設に頼ることができます。

自社ビル内にサーバ室を用意する代わりに、耐障害性の高いデータセンタを利用できる点がメリットです。

マネージドサービス

マネージドサービスは、サーバやネットワーク機器、クラウド環境などの運用・管理を専門事業者が代行するサービスです。監視やバックアップ、障害対応、セキュリティ対策など、日常的な運用業務を任せることができます。

自社のIT担当者の負荷を軽減しつつ、一定レベル以上の運用品質を確保したい場合に利用されます。クラウド環境と組み合わせて提供されるケースも多く見られます。


5. システムの設置場所と運用スタイル

この章では、オンプレミスという用語を中心に、システムをどこに置いてどのように運用するのかという観点から整理します。クラウドとの違いを理解することがポイントです。

オンプレミス

オンプレミスとは、企業が自社の建物やデータセンタなど、自ら管理する施設内にサーバやネットワーク機器を設置し、システムを運用する形態です。従来型のシステム導入方法として広く用いられてきました。

自社で機器を直接管理できるため、細かな設定やカスタマイズがしやすく、既存の業務に合わせて柔軟に作り込めるメリットがあります。その反面、機器購入の初期投資や、障害対応・保守などの運用負担が大きくなりやすい点が課題です。クラウドの普及により、オンプレミスとクラウドのどちらを選ぶか、あるいは組み合わせるかが重要な検討事項となっています。


まとめ

本記事では、システム化におけるソリューションの形態として、自社開発・パッケージ導入・他社サービス活用という大きな選択肢があることを確認しました。それぞれに、自由度・コスト・導入速度といった観点で特徴があり、状況に応じた使い分けが求められます。

さらに、クラウドコンピューティングを中心に、SaaS・PaaS・IaaS・DaaSなどのサービス形態や、パブリッククラウド・プライベートクラウド・ハイブリッドクラウド・マルチクラウドといった提供形態の違いを整理しました。同時に、SIやASP、アウトソーシング、ホスティング、ハウジング、マネージドサービスなど、構築・運用を支える多様なサービスの役割も見てきました。

最後に、オンプレミスという従来型の形態との対比を通じて、「どこにシステムを置き、誰がどこまで管理するのか」という視点が重要であることを押さえました。これらの用語を単独で覚えるのではなく、「ソリューションをどの形で提供・利用するか」という流れの中で関連づけて理解しておくと、試験でも実務でも活用しやすくなります。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

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