【ITパスポート試験】No.051|戦略目標

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企業が経営戦略や事業戦略を立てるとき、最初から「売上◯%アップ」などの目標だけがポンと出てくるわけではありません。外部環境や自社の強み・弱みを分析し、その結果を踏まえて「どこで戦うか」「何で勝つか」を決めていきます。本記事では、そのような戦略目標の立て方の考え方とともに、用語例として挙げられている EA(Enterprise Architecture)、SoR、SoE という3つのキーワードを整理して解説します。


目次

1. 経営環境分析から戦略目標が決まる流れ

この章では、経営戦略や事業戦略の目標が、どのようなプロセスで決められていくのかを説明します。特に、経営環境の分析とSWOT分析がどのように役立つのかを整理し、そこから具体的な戦略目標に落としていくイメージをつかんでいきます。

経営環境の分析と戦略目標

企業が戦略目標を決める際には、まず自社を取り巻く経営環境を分析します。経営環境とは、市場規模や成長性、競合他社の動き、法規制の変化、技術の進歩、社会的なトレンドなど、事業に影響を与える外部の要因を指します。これらを把握することで、自社にとってのチャンスや脅威が見えてきます。

この外部環境に、自社の強みや弱みといった内部要因を組み合わせて考えることで、「どの分野に注力すべきか」「どのようなビジネスモデルが有利か」といった方向性が明確になっていきます。そのうえで、「3年後までにどの市場でどのくらいのシェアを獲得するか」「どの業務のコストをどれくらい削減するか」といった、具体的な戦略目標が設定されます。

つまり、戦略目標は思いつきで決めるものではなく、経営環境の分析結果に基づいた「根拠のある目標」であることが重要です。

SWOT分析と目標設定

経営環境の分析方法の一つとして代表的なのがSWOT分析です。SWOT分析では、自社の内部要因として強み(Strength)・弱み(Weakness)、外部要因として機会(Opportunity)・脅威(Threat)を整理します。

例えば、自社の強みとして「高い技術力」、弱みとして「営業力の不足」、機会として「市場の急速な拡大」、脅威として「競合の低価格攻勢」があるとします。このとき、「技術力という強みを生かして高付加価値製品を展開し、価格競争を避ける」といった戦略の方向性が見えてきます。

そのうえで、「高付加価値製品の売上比率を3年で50%にする」「平均単価を○%上げる」といった戦略目標に落とし込むことができます。このように、SWOT分析は、漠然とした環境情報を整理し、具体的な戦略目標を導き出すための重要なフレームワークです。


2. 全体像を設計するEA(Enterprise Architecture)

この章では、用語例の一つである EA(Enterprise Architecture)について解説します。戦略目標が決まったあと、それを実現するために「企業全体をどのような仕組みで動かしていくか」を考えるときに役立つ考え方です。

EA(Enterprise Architecture)

EA(Enterprise Architecture)とは、企業の業務や情報システム、組織、技術基盤などを「全体としてどうあるべきか」という観点から設計・整理するための考え方です。企業活動を一つの「アーキテクチャ(構造)」として捉え、バラバラに導入されがちなシステムや制度を、戦略目標に沿った形で整えていくことを目的としています。

一般的には、

  • 業務アーキテクチャ
  • データアーキテクチャ
  • アプリケーションアーキテクチャ
  • 技術アーキテクチャ

といった複数の層に分けて整理します。例えば、戦略目標として「顧客満足度の向上」がある場合、どのような業務プロセスが必要なのか、そのためにどんなデータを扱うのか、どのアプリケーションで支えるのか、どのインフラ上で動かすのか、といったことをEAの枠組みで検討していきます。

EAの考え方を取り入れることで、個別最適なシステムが乱立することを防ぎ、企業全体として筋の通った構造を実現しやすくなります。結果として、戦略目標を実現するためのIT投資の優先順位も明確になり、無駄な投資を減らす効果が期待できます。


3. SoRとSoEで考える情報システムの役割分担

この章では、用語例の残り2つ、SoR(Systems of Record)とSoE(Systems of Engagement)について解説します。どちらも情報システムを役割ごとに分類する考え方であり、戦略目標を実現するうえで「どのシステムに何を期待するのか」を整理するのに役立ちます。

SoR(Systems of Record)

SoR(Systems of Record)とは、取引や業務の記録を正確に蓄積し、長期間にわたって管理することを主な役割とするシステム群を指します。典型的な例としては、販売管理、在庫管理、会計、人事給与などの基幹システムが挙げられます。

これらのシステムに求められるのは、データの正確性、安定性、信頼性です。例えば、売上や在庫の数値、給与計算の結果などは、間違いがあっては大きな問題になります。そのため、SoRでは、処理の正確さや障害の少なさ、厳格なアクセス管理が重視されます。

戦略目標との関係で言えば、SoRは企業活動の「土台」を支える存在です。正確な記録があるからこそ、経営状況を把握し、将来に向けた意思決定が行えます。逆に、SoRが整っていないと、どれだけ攻めの戦略を掲げても、正確な数字に基づく管理ができず、戦略の実行が不安定になってしまいます。

SoE(Systems of Engagement)

SoE(Systems of Engagement)とは、顧客や従業員などと「どう関わるか(Engagement)」に重点を置いたシステム群を指します。具体的には、スマートフォンアプリ、SNS連携、Webサイトの会員向け機能、チャットボットなど、ユーザとの接点を強化するためのシステムが代表例です。

SoEに求められるのは、使いやすさやスピード感、柔軟な改善です。ユーザの反応を見ながら、画面や機能を頻繁に改善していくことが多く、変化への対応力が重視されます。例えば、「顧客との接点を増やす」「ファンを作る」といった戦略目標を実現したい場合、SoEの強化がポイントになります。

SoRとSoEは対立するものではなく、むしろ連携して価値を発揮します。SoEで集めた顧客の行動データをSoR側で蓄積・分析し、その結果をもとにSoEの施策を改善していくような形で、両者を組み合わせて戦略目標を達成していくイメージです。


まとめ

この記事では、「戦略目標」というテーマのもと、経営戦略や事業戦略がどのように目標設定されるかを確認し、関連する用語として EA、SoR、SoE を整理しました。

戦略目標は、経営環境の分析やSWOT分析などを通じて、自社の強み・弱み、外部の機会・脅威を踏まえて設定されます。思いつきではなく、分析結果に裏付けられた具体的な目標であることが重要です。

EA(Enterprise Architecture)は、その戦略目標を実現するために、企業全体の業務や情報システムをどのような構造にするかを設計する考え方です。さらに、情報システムを役割で分ける概念として、記録と信頼性を重視する SoR(Systems of Record)と、顧客や従業員との関わりを強化する SoE(Systems of Engagement)があります。

戦略目標を考えるときには、「環境分析 → 目標設定 → 全体アーキテクチャ(EA) → SoRとSoEの役割分担」という流れで捉えると、経営とITのつながりが理解しやすくなります。この視点を押さえておくと、試験の学習だけでなく、実際のビジネスでの戦略理解にも役立ちます。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

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