【ITパスポート試験】No.047|電子商取引の留意点

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。

インターネットでの買い物やオンラインサービスの利用が当たり前になった一方で、不正アクセスやなりすまし、マネーロンダリングなど、電子商取引ならではのリスクも増えています。安全に取引を行うためには、利用者側の注意だけでなく、事業者によるセキュリティ対策や本人確認の仕組みが欠かせません。この記事では、電子商取引における代表的なリスクと、その対策として重要な仕組みであるアカウントアグリゲーション、eKYC、AML・CFTソリューションについて解説します。


目次

1. 電子商取引のリスクとセキュリティ対策の考え方

この章では、電子商取引を利用するときに、どのようなリスクがあるのか、そしてなぜセキュリティ対策が重要なのかを整理します。個人情報やお金を扱う以上、「便利さ」と同時に「安全性」を確保する視点が必要です。

電子商取引では、クレジットカード番号や住所・氏名、ログインIDやパスワードなど、大量の個人情報がネットワークを流れます。そのため、通信の盗聴、サーバへの不正アクセス、フィッシングサイトへの誘導などによって、情報が盗まれたり悪用されたりする危険があります。

また、なりすましによる不正ログインや、不正送金・不正決済といった被害も問題になります。特に金融関連サービスの場合、1回の不正取引で大きな損失が発生する可能性があります。

こうしたリスクを減らすために、事業者側では次のような対策が求められます。

  • 通信の暗号化(HTTPSなど)
  • ID・パスワードに加え、ワンタイムパスワードや生体認証などを組み合わせた多要素認証
  • アクセスログの監視や不正アクセスの検知
  • 口座や取引の名義が正しいかを確認するための本人確認(KYC、eKYC)
  • マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐための取引モニタリング(AML・CFT)

このように、電子商取引では「誰が」「どの口座で」「どのような取引をしているのか」を正しく把握し、不正な動きがあればすぐに検知・遮断する仕組みが重要になります。


2. 本人確認と口座の見える化で不正を防ぐ仕組み

この章では、利用者の本人確認や口座管理と関係する用語として、アカウントアグリゲーションとeKYCを取り上げます。どちらも、電子商取引やオンライン金融サービスを安全かつ便利に利用するための基盤となる仕組みです。

アカウントアグリゲーション

アカウントアグリゲーションは、複数の金融機関やサービスにまたがる口座情報をまとめて取得・表示する仕組みのことです。例えば、複数の銀行口座、クレジットカード、証券口座などの残高や入出金履歴を、1つのアプリやサービスで一覧できるようにするイメージです。

利用者にとっては、資産状況や収支を「家計簿アプリ」などでまとめて確認できるため、とても便利です。一方で、複数の口座情報を一か所に集めるということは、もしそのサービスが乗っ取られると多くの情報が一度に漏洩するリスクもあります。

そのため、アカウントアグリゲーションを提供する事業者には、強固な認証方式や通信の暗号化、厳格なアクセス制御など、高いレベルのセキュリティ対策が求められます。利用者側も、パスワード使い回しを避ける、怪しいアプリに口座情報を登録しない、といった基本的な注意が必要です。

eKYC(electronic Know Your Customer)

eKYCは「electronic Know Your Customer」の略で、オンラインで本人確認を行う仕組みを指します。従来の金融機関の口座開設などでは、窓口で本人確認書類を提示したり、運転免許証のコピーを郵送したりする必要がありました。eKYCでは、スマホで本人確認書類を撮影したり、自分の顔と書類を一緒に撮影したりすることで、オンライン上で本人確認を完結させます。

これにより、利用者は来店や郵送の手間をかけずに、手軽にサービスを利用開始できるようになります。一方で、偽造書類の利用やなりすましを防ぐため、画像の真偽判定や顔認証などの技術が組み合わされています。

電子商取引では、誰が取引を行っているのかを確実に確認することが、不正防止の基本です。eKYCは、その本人確認プロセスをオンラインでも安全に行うための重要な仕組みだといえます。


3. マネーロンダリング・テロ資金供与を防ぐAML・CFTソリューション

この章では、電子商取引やオンライン金融サービスを悪用した犯罪を防ぐための仕組みである、AML・CFTソリューションについて説明します。国際的にも重視されている分野です。

AML・CFT(マネーロンダリング・テロ資金供与対策)ソリューション

AMLは「Anti-Money Laundering」の略でマネーロンダリング対策、CFTは「Countering the Financing of Terrorism」の略でテロ資金供与対策を指します。これらを実現するためのシステムやサービスが「AML・CFTソリューション」です。

マネーロンダリングとは、犯罪で得た資金の出所をわからなくするために、複数の口座や取引を経由させて「きれいな資金」に見せかける行為です。テロ資金供与は、テロ活動に使われる資金を集めたり送金したりする行為を指します。
電子商取引やオンライン送金サービスが発達すると、国境をまたいだ資金移動が容易になるため、こうした犯罪に悪用されるリスクも高まります。

AML・CFTソリューションでは、次のような機能が利用されます。

  • 取引内容や金額、頻度を自動的にチェックし、不自然なパターンを検知する
  • 高リスク国・地域や制裁対象リストと照合し、疑わしい取引を抽出する
  • eKYCなどで得た本人情報と取引履歴を組み合わせ、なりすましや架空名義を見つける
  • 疑わしい取引があれば、担当者へアラートを出したり、必要に応じて当局に報告したりする

このように、AML・CFTソリューションは、単に1件ずつの取引を見るのではなく、「お金の流れ」を全体として分析し、犯罪の兆候を早期に捉えることを目指しています。電子商取引が社会に広く受け入れられるためには、こうした裏側の仕組みが機能していることが重要です。


まとめ

電子商取引は便利で身近な仕組みですが、個人情報やお金を扱う以上、さまざまなリスクが存在します。そのため、通信の暗号化や多要素認証といった技術的な対策に加え、「誰が」「どの口座で」「どのような目的で」取引しているかを確認・監視する仕組みが欠かせません。

アカウントアグリゲーションは、複数の口座をまとめて管理できる便利な仕組みである一方、情報が集中することによるリスクを伴います。eKYCは、オンラインで安全に本人確認を行い、不正な口座開設やなりすましを防ぐための重要な手段です。さらに、AML・CFTソリューションは、取引の流れを分析することで、マネーロンダリングやテロ資金供与といった犯罪の防止に役立ちます。

これらの用語は、それぞれ別々の仕組みに見えますが、共通して「電子商取引を安全に行うための基盤」を支えています。学ぶ際は、「利用者の本人確認」「口座や資金の見える化」「取引の監視と犯罪防止」という3つの観点から整理すると理解しやすくなります。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

コメント

コメントする

CAPTCHA



reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

目次