【ITパスポート試験】No.027|環境関連法

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企業活動は、利益を出すだけでなく、環境への負荷を減らす責任も求められています。そのため、ゴミの出し方から資源の再利用、さらには脱炭素への取り組みに至るまで、さまざまな「環境関連法」が整備されています。この記事では、廃棄物処理法、リサイクル法、GX推進法といった代表的な法律を取り上げ、企業がどのように環境に配慮した経営を行うべきかを整理して解説します。


目次

1. 企業活動と環境法の関係

この章では、なぜ企業に環境配慮が求められ、そこに法律がどう関わっているのかという全体像を説明します。個々の法律を覚える前に、「環境関連法は企業の行動のルールブックである」というイメージを持っておくと理解しやすくなります。

環境に配慮する様々な法律があること

企業は、事業活動の中で廃棄物を出したり、エネルギーを消費したり、資源を利用したりしています。こうした活動がそのまま放置されると、公害や資源枯渇、地球温暖化などの問題につながってしまいます。そのため、国は法律によって「廃棄物は適切に処理すること」「再利用できるものは資源として活用すること」「CO₂排出を減らすための取り組みを進めること」などのルールを定めています。

これらの環境関連法は、企業にとっては守らなければならない義務である一方で、環境に優しい取り組みを進めるための指針にもなります。法令違反を避けることはもちろん、環境配慮型の経営を行うことで、企業イメージの向上や新たなビジネスチャンスにつながる場合もあります。


2. 廃棄物と資源循環をめぐる法律

ここでは、企業から出る「モノの終わり方」に関係する法律をまとめて取り上げます。不要になったものを単なるゴミとして捨てるのではなく、適切に処理し、できるものは資源として再活用することが求められています。

廃棄物処理法

廃棄物処理法は、正式には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と呼ばれます。主な目的は、廃棄物による生活環境の悪化を防ぎ、国民の健康を守ることです。

この法律では、廃棄物を「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けて扱います。一般廃棄物は家庭から出るゴミなど、産業廃棄物は工場や事業所から出る廃油・廃プラスチック・金属くずなどです。企業は、自分の事業活動から出た産業廃棄物について、その処理責任を負うことになります。

具体的には、産業廃棄物を収集・運搬・処分するときには、許可を受けた業者に委託し、マニフェストと呼ばれる管理票で、最終処分まで適切に行われたかどうかを確認します。これを怠ると、企業側も法律違反として罰則を受ける可能性があります。そのため、企業は、廃棄物の量を減らす工夫とともに、適切な処理フローを管理することが重要です。

リサイクル法

リサイクル法という言葉は、特定の一つの法律を指す場合もありますが、一般的には「資源の有効な利用を促進するための各種リサイクル関連法」の総称として使われることが多いです。例えば、家電リサイクル法や自動車リサイクル法、資源有効利用促進法などが含まれます。

これらの法律の共通した狙いは、使い終わった製品や容器包装などを単に廃棄するのではなく、再利用・再資源化することで、資源の消費を抑え、環境負荷を軽減することです。企業にとっては、製品設計の段階から「リサイクルしやすい構造」「部品を分解しやすい構造」を考えることが求められます。

また、製造業者や販売業者が、使用済み製品の回収やリサイクルに責任を持つ「拡大生産者責任」という考え方も重要です。製品を売って終わりではなく、その後の行き先まで含めて責任を持つことが、これらのリサイクル関連法の特徴だといえます。


3. GX推進法と脱炭素社会への転換

この章では、近年よく耳にする「GX(グリーントランスフォーメーション)」に関する法律を取り上げます。環境保全は、ゴミやリサイクルだけでなく、エネルギーや脱炭素といった観点からも重要になっており、企業の経営戦略そのものに関わるテーマとなっています。

GX推進法

GX推進法は、温室効果ガスの排出削減と、経済社会の構造をグリーンに転換していくことを目的とした法律です。GXとは「Green Transformation」の略で、環境負荷の少ない社会へと大きく変革していく取り組みを意味しています。

この法律では、国全体としての脱炭素への方針が示されるとともに、企業の長期的な投資やイノベーションを後押しする仕組みが盛り込まれています。例えば、再生可能エネルギーの導入や、省エネ設備への投資、カーボンニュートラルを目指す技術開発などが対象となります。

企業にとってGX推進法は、「環境に配慮することはコスト」という従来の見方から、「環境対応は新しい成長のチャンス」という考え方への転換を促す法律とも言えます。法制度を上手に活用しながら、脱炭素をビジネスチャンスにつなげていく姿勢が求められています。


まとめ

この記事では、環境関連法の概要と、代表的な法律である廃棄物処理法、リサイクル法、GX推進法について整理しました。

廃棄物処理法は、廃棄物を適切に処理し、生活環境と健康を守るための基本的なルールを定めています。企業は、自らの産業廃棄物について処理責任を持ち、委託先の管理も含めて適切に対応する必要があります。

リサイクル法は、使い終わった製品や容器などを資源として再利用し、資源循環型社会を実現するための仕組みを整えています。製品設計や回収・再資源化の仕組みづくりに、企業の積極的な関与が求められます。

GX推進法は、脱炭素社会への大きな転換を進めるための枠組みを提供する法律です。環境対応を義務として捉えるだけでなく、経営戦略や技術革新のチャンスとして活用していくことが重要です。

環境関連法は、単に暗記するだけではなく、「企業活動と環境をどう両立させるか」という視点で理解すると整理しやすくなります。企業は、これらの法律を守ることを前提に、環境に優しい製品やサービスを提供し、持続可能な社会づくりに貢献していくことが求められています。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
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