
1. Vimとは
Vimは、1991年にBram Moolenaar(ブラム・ムールナール)が開発・公開したテキストエディタです。UNIXの「vi」を改良したことから “Vi IMproved” の頭文字を取って名づけられました。Windows/macOS/Linux など主要OSで動き、ターミナル上でもGUI版(GVim)でも利用できます。Vimは「チャリティウェア」という考え方を採っており、配布は自由ですが作者は寄付を通じた支援(ICCFなど)を呼びかけてきた、というユニークな背景もあります。
できることは、コード編集から文章執筆、ログ調査、サーバー上の設定ファイル編集まで幅広く、軽快さが最大の武器です。Vimの操作は「モード」を切り替えるのが基本で、文字を入れるときは挿入モード、移動や削除・コピーはノーマルモード、と役割を分けます。たとえば「3行下へ→単語を削除→貼り付け」といった操作を、矢印キーに頼らず “移動(w、j、k など)×操作(d=削除、y=コピー、p=貼り付け)” の組み合わせで素早く実行できます。正規表現による検索置換、複数ファイルの同時編集(バッファ/ウィンドウ/タブ)、記録して繰り返せるマクロ、クリップボードやレジスタの使い分けなど、日常の編集を高速化する仕掛けが揃っています。
特徴は、習得コストはあるものの「覚えた分だけ手が速くなる」こと、そして拡張のしやすさです。設定はホームフォルダの .vimrc に書き、テーマ変更、インデント・フォーマット、キーマップのカスタマイズが可能。プラグインも豊富で、補完やLint、Git連携、ファイラ、ステータスラインなどを、vim-plug や dein.vim などのマネージャで簡単に導入できます。はじめ方は「vimtutor(学習用チュートリアル)を実行 → :help で内蔵ヘルプに慣れる → .vimrc に最小限の設定を書く」の3ステップが定番。最初は「移動(hjkl・w・b)」「編集(i・a・x・dd・yy・p)」「検索(/ と n)」の少数から覚え、少しずつ自分用の道具箱を増やしていくのが上達の近道です。