
1. Dartとは
Dart(ダート)は、2011年にGoogleが開発・公開したプログラミング言語です。もともとWeb向けに「AltJS(JavaScriptの代わりになる選択肢)」として設計され、書いたコードをJavaScriptに変換してブラウザで動かせるのが出発点でした。その後、モバイルUIフレームワークのFlutterで採用されたことで利用範囲が大きく広がり、現在もモバイル・Web・デスクトップ・サーバーまで一貫して使われ続けています。
できることは幅広く、スマホアプリ(iOS/Android)、Webアプリ、パソコン用アプリ(Windows/macOS/Linux)、バックエンドまで同じ言語で開発できます。学びやすい文法(JavaやC系に近い記法)に加え、非同期処理をわかりやすく書けるasync/await、クラスベースのオブジェクト指向など、実務で使う道具がそろっています。開発中は「保存したらすぐ反映」の素早い試行がしやすく、完成版は「実行が速い形」にまとめて配布できるため、試作から本番までの流れがスムーズです(専門用語で言うJIT/AOTはここでの“素早い反映/高速実行”の仕組みだと思えばOK)。
特徴は、生産性・安全性・配布のしやすさのバランスが良いことです。pub.devのパッケージ(ライブラリ)を追加すれば、ログイン、HTTP通信、データベース、グラフ描画、状態管理などを手早く導入できます。null安全(sound null safety)により「値が入っていないせいで落ちる」タイプのバグを事前に減らせるほか、テストや静的解析、コード整形ツールも標準で用意されています。始め方はシンプルで、Dart(またはFlutter)SDKを入れ、VS Codeなどのエディタを用意し、テンプレートからプロジェクトを作るだけ。個人開発からチーム開発、学習用途まで、同じ言語で企画→試作→公開まで進めやすいのがDartの強みです。