【ITパスポート試験】No.113|IoTデバイス

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本記事では、IoTシステムを構成するIoTデバイスについて、センサーとアクチュエーターの役割、光学・赤外線・磁気・加速度・ジャイロ・超音波・温度・湿度・圧力・煙などの各種センサーの特徴、DCモーターや油圧シリンダ、空気圧シリンダといったアクチュエーターの違い、さらにIoTデバイスにおけるデータの収集・分析方法や身近なIT機器での活用例を整理して解説します。


目次

1. IoTデバイスの役割と基本構成

この章では、IoTデバイスがIoTシステム全体の中でどのような役割を担っているのか、その基本構成を二つの視点から整理します。

IoTデバイスとは

IoTデバイスとは、現実世界の情報を取り込み、ネットワークを通じてシステムへ送り出したり、逆にシステムからの指示を受けて現実世界を動かしたりする装置の総称です。温度や明るさ、人の動きといった情報を「感じる」センサーと、モーターやバルブのように実際に「動かす」アクチュエーターを組み合わせることで、物理世界とデジタル世界を橋渡ししています。

IoTシステム全体の流れで見ると、IoTデバイスは最前線でデータを集める役割を担っています。取得したデータは、無線や有線の通信によってクラウドやサーバへ送信され、そこで蓄積・分析されます。分析結果に応じて、「扇風機を強くする」「警報を鳴らす」「バルブを閉じる」といった制御指令が再びIoTデバイスへ戻り、アクチュエーターを動かすことで現実世界の状態が変化します。

IoTデバイスの基本構成要素

典型的なIoTデバイスは、センサー、マイコンやCPU、通信モジュール、アクチュエーター、電源といった要素で構成されます。センサーからのアナログ信号は、マイコン内部のA/D変換回路などを通じてデジタル値に変換され、一定間隔でサンプリングされます。その後、必要に応じて簡単な前処理(平均化やしきい値判定など)が行われ、通信モジュールからネットワークへ送信されます。

電源には、商用電源やバッテリー、太陽電池など用途に応じた方法が用いられます。特に屋外や遠隔地では、電池寿命を延ばすために低消費電力設計が重要になります。センサーの種類、計測間隔、通信頻度、アクチュエーターの動作パターンなどをうまく組み合わせることで、「必要な情報はしっかり取るが、無駄な電力は使わない」というバランスを取るのがIoTデバイス設計のポイントです。


2. 環境や状態を測るセンサー

この章では、環境や状態を測定するために使われる光学センサー、赤外線センサー、磁気センサー、超音波センサー、温度センサー、湿度センサー、圧力センサー、煙センサーについて説明します。

光学センサー

光学センサーは、光の強さや反射を検知するセンサーです。自動点灯する街灯や、スマートフォンの画面輝度自動調整、工場ラインの物体検出などで使われています。たとえば照度センサーは、周囲の明るさを数値化し、一定値より暗くなったら照明を点けるといった制御に利用されます。

光学センサーは構造が比較的シンプルで、低消費電力のものが多いため、電池駆動のIoTデバイスでも扱いやすいことが特徴です。一方で、窓からの直射日光や汚れによる遮光など、環境の変化に影響されやすく、設置位置や保守の仕方を工夫することが重要になります。

赤外線センサー

赤外線センサーは、目には見えない赤外線の変化を検知します。代表例が「人感センサー」で、人の体温から出る赤外線の変化をとらえて人の存在や動きを検出します。玄関の自動照明や防犯センサー、オフィスの在室検知など、日常のさまざまな場面で利用されています。

接触せずに人や動物の存在を検出できる点が強みですが、背景温度や空調の風などによって誤検知する場合もあります。そのため、IoTシステムでは赤外線センサーと他のセンサー(ドアの磁気センサーやカメラなど)を組み合わせ、総合的に判定する工夫がよく行われます。

磁気センサー

磁気センサーは、磁界の強さや変化を検知するセンサーです。ドアや窓の開閉検知に使われるマグネットスイッチや、スマートフォンの電子コンパスなどが身近な例です。ドアが閉まっているときは磁石が近くにあり、開くと離れることで磁界が変化し、その違いをIoTデバイスが検知します。

磁気センサーは、光が届かない場所や汚れの多い環境でも安定して動作しやすいという利点があります。一方で、強い磁場を発生する機器の近くでは誤作動する可能性があるため、設置位置やノイズ対策を考慮することが大切です。

超音波センサー

超音波センサーは、人には聞こえない高周波の音を発信し、その反射を受信して距離を測るセンサーです。ロボット掃除機の障害物検知や、車のバックソナー、タンクの水位測定などに利用されています。IoTデバイスでは、タンクの残量を遠隔監視したり、人や物の接近距離を測定して警告を出したりする用途に向いています。

光が届きにくい暗所でも利用できる反面、風や気温、湿度の影響を受けやすいという特徴があります。そのため、連続して何度か測定し平均を取る、異常値を除外するなど、ソフトウェア側での補正がよく行われます。

温度センサー

温度センサーは、周囲の温度を測定するセンサーで、エアコンや冷蔵庫、ボイラー、サーバルーム監視など多様な機器に組み込まれています。IoTデバイスでは、一定間隔で温度を計測してクラウドに送信し、表示や統計分析に利用したり、設定範囲を超えたときにアラートを出したりする仕組みが一般的です。

温度データは、品質管理や省エネ、故障予兆の判断材料として重要です。長期的にログを蓄積しておけば、季節や時間帯による変化を把握し、空調の最適な運転計画を立てることも可能になります。

湿度センサー

湿度センサーは、空気中の水蒸気量を測るセンサーで、エアコンや除湿機、ビニールハウスの環境制御などで使われています。温度センサーと組み合わせた「温湿度センサー」として利用されることも多く、IoTデバイスから定期的に送られる温湿度データを基に、快適性の評価やカビ・結露リスクの予測が行えます。

湿度は人間の体感だけでなく、紙や木材、電子機器などの品質にも影響を与えます。そのため、印刷工場や倉庫、データセンターなどでは、湿度センサーのデータを監視し、空調設備の制御に反映させることがよくあります。

圧力センサー

圧力センサーは、気圧や液体・気体の圧力を測定するセンサーです。ボイラーや配管の圧力監視、自動車タイヤの空気圧監視システム、血圧計などさまざまな用途があります。IoTデバイスとしては、圧力が許容範囲から外れたときにアラートを送ることで、安全性の向上や故障予防に役立てられます。

圧力データを長期間蓄積すると、徐々に圧力が下がる配管の微小な漏れや、ポンプの劣化傾向などが見えてきます。これにより、定期点検だけに頼らず、状態に応じてメンテナンスを行う「予知保全」の実現に近づきます。

煙センサー

煙センサーは、空気中の煙の量や性質を検知し、火災の早期発見に用いられるセンサーです。家庭用火災報知器やビルの防災設備などに組み込まれ、一定の濃度を超えると警報を鳴らしたり、IoTネットワークを通じて管理センターやスマートフォンへ通知したりします。

IoT化された煙センサーでは、単に警報を鳴らすだけでなく、どの部屋のセンサーが反応したか、過去にどの程度誤報があったかといった情報も含めて記録できます。これにより、避難誘導や設備改善の検討に役立つデータが得られます。


3. 動きや姿勢を測るセンサー

この章では、物体の動きや姿勢を捉えるセンサーとして、加速度センサーとジャイロセンサーを取り上げます。

加速度センサー

加速度センサーは、物体にかかる加速度を測定するセンサーです。静止状態でも重力加速度を検出するため、端末の傾きを知ることができます。スマートフォンを縦向き・横向きにすると画面表示が切り替わるのは、この加速度センサーが端末の向きを判断しているためです。

IoTデバイスでは、機械の振動状態を監視したり、人や物の動きを検出したりする用途でよく使われます。例えば、モーターに取り付けた加速度センサーで振動パターンを記録しておけば、異常振動が発生した際に故障の予兆として検知できます。こうしたデータをクラウドに蓄積し、通常時と比較することで、より高度な状態監視が可能になります。

ジャイロセンサー

ジャイロセンサーは、物体の回転速度や向きの変化を検出するセンサーです。ゲーム機やスマートフォン、ドローン、産業用ロボットなどで広く利用されています。ドローンが水平を保ちながら飛行したり、ゲームでコントローラをひねる操作に反応したりするのは、ジャイロセンサーが角速度を検出しているからです。

加速度センサーだけでは検出しづらい、一定速度での回転や微妙な姿勢の変化も、ジャイロセンサーと組み合わせることでより正確に把握できます。IoTデバイスに組み込むことで、機器の向きや回転状態を常時監視したり、不自然な動きがあったときにアラートを上げたりすることが可能になります。


4. 現実世界を動かすアクチュエーター

この章では、IoTデバイスが出した指示を現実の動きに変換するアクチュエーターについて、DCモーター、油圧シリンダ、空気圧シリンダを見ていきます。

アクチュエーター

アクチュエーターは、電気信号を回転や直線運動などの力に変える装置の総称です。センサーが「状況を感じる」役割だとすれば、アクチュエーターは「状況を変える」役割を担います。扉の自動開閉、バルブの開閉、ファンの回転数調整など、何かが動いている裏側にはアクチュエーターの働きがあります。

IoTシステムでは、クラウドや制御装置が判断した結果をIoTデバイスが受け取り、アクチュエーターに対して「動け」「止まれ」「強く」「弱く」といった命令を送ります。これにより、環境変化やユーザの操作に応じて設備を自動制御できるようになります。

DCモーター

DCモーターは、直流電流を与えることで回転運動を生み出すモーターです。ファンやポンプ、小型ロボットなど、さまざまな機器に組み込まれています。IoTデバイスからは、PWM制御などを用いて回転速度を変えたり、ON/OFFを制御したりすることで、環境に合わせた運転が可能になります。

例えば、温度センサーの値に応じてDCモーターでファンの回転数を自動調整すれば、必要なときだけ強く回し、無駄な電力消費を抑えられます。位置センサーと組み合わせれば、決められた角度まで正確に回転させる制御もでき、ロボットアームや自動シャッターなどにも用いられます。

油圧シリンダ

油圧シリンダは、油圧の力を使って直線運動を生み出すアクチュエーターです。建設機械のアームや工場のプレス機など、大きな力が必要な場面で活躍します。IoT化された設備では、油圧シリンダの動作量や油圧、温度などをセンサーで測定し、クラウドに送りながら状態監視や予防保全に役立てます。

IoTデバイスは、バルブの開度やポンプの回転数を制御する信号を出し、油圧シリンダの動きを細かく調節します。異常な圧力変化や動作回数の増加が検知された場合には、遠隔からの停止指令やメンテナンス通知を行うことで、安全性と稼働率の両方を高めることができます。

空気圧シリンダ

空気圧シリンダは、圧縮空気を使って直線運動を行うアクチュエーターです。油圧に比べて扱う媒体がクリーンで、構造も比較的シンプルなため、食品工場や組立ラインなどで広く利用されています。短いストロークで素早く動かす用途や、軽い物体の押し出し・位置決めなどに適しています。

IoTデバイスと連携させることで、空気圧シリンダの動作回数やエア圧をリアルタイムに監視し、摩耗やエア漏れの兆候を早期に察知できます。また、センサーによる検査結果に応じてシリンダを動かし、合格品と不良品を自動で仕分けるといったラインの自動化にも欠かせない要素です。


5. IoTデバイスのデータ活用と身近な例

この章では、IoTデバイスで集めたデータの収集・分析方法と、身近なIT機器における活用例を確認します。

データ収集と分析

IoTデバイスは、センサーから得たデータを一定間隔でサンプリングし、必要に応じて前処理を行ってからクラウドへ送信します。前処理には、ノイズを減らすための平均化や、しきい値を超えたときだけ送信するイベント検出などが含まれます。これにより、通信量と電力消費を抑えながら、必要な情報を確実に取得できます。

クラウド側では、時系列グラフやヒートマップなどに可視化して傾向を確認したり、統計分析や機械学習で異常検知や予知保全を行ったりします。例えば、振動データから軸受けの摩耗を検出したり、温湿度データからカビが生えやすい環境を予測したりすることができます。センサーの仕組みや測定方法を理解しておくと、データの意味を正しく読み取り、適切な分析手法を選びやすくなります。

身近なIT機器での活用

家庭では、スマートエアコンやスマート照明に温度・湿度・光学・人感センサーが組み込まれ、在室状況や日射量に合わせて自動制御が行われています。スマートスピーカーやスマートリモコンは、赤外線やWi-Fiを通じて家電を操作し、外出先からでも室内環境を調整できるようにしています。これらの機器の内部には、小型のIoTデバイスが組み込まれており、クラウドと連携して動作しています。

オフィスや工場では、振動・温度・圧力・電力などのセンサーを取り付けたIoTデバイスが設備の状態を常時監視し、異常があれば担当者のスマートフォンに通知します。物流では、RFIDや温度センサー付きIoTタグを活用し、荷物の位置や温度履歴を追跡することで、品質管理や紛失防止に役立てています。このように、IoTデバイスは目立たないところで多くのIT機器を支えており、データの収集と制御を通じて、私たちの生活やビジネスを少しずつ賢くしている存在だと言えます。


まとめ

本記事では、IoTデバイスが現実世界とデジタル世界の橋渡しをする装置であり、センサーで「感じ」、アクチュエーターで「動かす」役割を担っていることを確認しました。IoTシステムの中で、IoTデバイスは最前線でデータを集め、クラウドの判断を現実の動きとして実行する要となる存在です。

具体的には、光学・赤外線・磁気・超音波・温度・湿度・圧力・煙などのセンサーが、明るさや人の動き、距離、環境条件、火災の兆候などを測定し、加速度センサーやジャイロセンサーが動きや姿勢を捉えることを見てきました。また、DCモーターや油圧シリンダ、空気圧シリンダといったアクチュエーターが、これらのデータに基づいてファンやアーム、バルブなどを動かし、設備や家電を自動制御している様子もイメージできたと思います。こうした「感じる」と「動かす」の組み合わせが、IoTの価値を生み出す原点です。

さらに、IoTデバイスが収集したデータは、クラウドでの可視化や分析、予知保全に活用され、家庭の快適性向上から工場の停止リスク低減まで、さまざまな場面で役立っています。IoTデバイスの構成要素と各種センサー・アクチュエーターの特徴を理解しておけば、新しいIoTサービスのニュースを見たときにも、「どんなセンサーで何を測り、どのように動かしているのか」を具体的に想像できるようになります。ITパスポート試験の学習でも、用語を単に暗記するのではなく、身近な機器の動作と結び付けて考えることで、IoT分野の理解が一層深まるでしょう。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

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