本記事では、コンピュータと周辺機器をつなぐ入出力インタフェースについて、有線と無線の違い、シリアル/パラレルといったデータ転送方式の考え方を整理しつつ、アナログ・デジタル信号、USB、HDMI、DisplayPort、アナログRGB、DVI、Bluetooth、IrDA、RFID、NFCといった代表的な規格の特徴と用途を順に解説します。
1. インタフェースの基本と信号のイメージ

この章では、入出力インタフェースとは何かという出発点と、アナログ/デジタル、シリアル/パラレルといった基礎的な考え方を整理します。
アナログ信号
アナログ信号は、「時間とともに変化する量」を連続的な波として表現する信号です。マイクから入る音声や、昔のブラウン管ディスプレイに送られていた映像信号は、電圧が滑らかに変化するアナログ信号で伝えられていました。現実世界の多くの情報は本来連続量なので、その形に近い表現と言えます。
一方で、アナログ信号はノイズの影響を受けやすいという弱点があります。ケーブルが長くなったり、周囲の電気的なノイズが強かったりすると、波の形が少しずつ崩れてしまい、元の情報との区別が付きにくくなります。高画質表示や長距離伝送を行うには、このノイズへの弱さが課題となります。
デジタル信号
デジタル信号は、0と1といった離散的な値で情報を表現する信号です。電圧がある一定以上なら「1」、一定より低ければ「0」とみなし、その組合せで文字や画像、音声などを表現します。多少ノイズが乗っても、「高いか低いか」さえ判定できれば正しいデータとして認識できるため、信頼性の高い伝送がしやすいのが特徴です。
現在のPC向けインタフェースの多くはデジタル方式を採用しています。映像系であればDVIやHDMI、DisplayPort、データ系であればUSBやBluetoothなどが代表例です。アナログからデジタルへの移行によって、画質や音質の安定性が高まり、高解像度・高音質の機器が扱いやすくなりました。
シリアル転送
シリアル転送は、データを1ビットずつ連続して送る方式です。一列の通路にデータが行列して順番に流れていくイメージです。1度に送るビット数は少ないものの、信号線が少なくて済むためケーブル構造をシンプルにでき、高速化や長距離伝送に向いています。
USBやシリアルATA、PCI Express、各種高速インタフェースは、いずれもシリアル転送を採用しています。かつては「1ビットずつなので遅そう」に見えましたが、信号の品質を高めて動作周波数を上げることで、結果としてパラレル方式より高い転送速度を実現しています。現代の主流がシリアル方式であることを押さえておくとよいでしょう。
パラレル転送
パラレル転送は、複数ビットを同時に並行して送る方式です。例えば8本の線を使って、一度に8ビットをまとめて送るような形です。かつてのプリンタポートやIDE(パラレルATA)、古いメモリバスなどがこの仕組みを利用していました。「同時にたくさん送れる」ため、比較的低い周波数でも一定以上のデータ量を扱えるという利点があります。
しかし、信号線が多いほど配線が複雑になり、線ごとのタイミングのズレ(スキュー)を抑えるのが難しくなります。高速化しようと周波数を上げていくと、この問題が顕在化しやすく、長距離伝送にも不向きです。そのため、近年はパラレル方式からシリアル方式への置き換えが進み、多くの外部インタフェースがシリアルに統一されつつあります。
2. 汎用有線インタフェース:USB

この章では、代表的な有線インタフェースの一つであるUSBについて、役割とコネクタ形状の違いを整理します。
USB(Type-A/Type-B/Type-C ほか)
USB(Universal Serial Bus)は、キーボードやマウス、プリンタ、外付けストレージ、スマートフォンなど、さまざまな機器を接続するための汎用インタフェースです。名前に「Serial」とある通り、シリアル転送方式を採用しており、世代が進むたびに転送速度や給電能力が向上してきました。一つの規格で多くの用途をまかなえることから、現在ではPC周辺の「標準ポート」と言ってもよい存在です。
コネクタ形状にはいくつかの種類があります。もっとも馴染みのあるのが、PC側に搭載される平たい長方形のType-Aです。プリンタなどでよく見かける四角に近いType-Bや、その小型版(Micro-Bなど)は主に周辺機器側で使われてきました。近年は、上下の向きを気にせず挿せる小型のType-Cが台頭しており、ノートPCやスマートフォン、タブレットなどで採用が広がっています。Type-Cは給電能力も高く、映像出力や他のプロトコルを同じコネクタで扱える点が特徴です。
3. 映像用有線インタフェース

この章では、ディスプレイとの接続など、主に映像出力を担当する有線インタフェースについて、アナログとデジタルの違いも含めて整理します。
アナログRGB
アナログRGBは、かつてPCとディスプレイを接続する標準的な映像インタフェースとして使われてきた方式です。D-sub 15ピンと呼ばれる青いコネクタを見たことがある方も多いでしょう。赤・緑・青の各色信号をアナログで送るため、ケーブルの品質や長さ、周囲のノイズの影響を受けやすく、高解像度・高周波数での表示では画質低下が目立ちやすくなります。
そのため、液晶ディスプレイの普及とともに、より安定したデジタルインタフェースへの移行が進みました。とはいえ、古いプロジェクタやディスプレイでは依然としてアナログRGB入力しか持たないものもあり、変換アダプタと組み合わせて利用される場面も残っています。
DVI
DVI(Digital Visual Interface)は、アナログRGBの後継として登場した映像インタフェースです。パソコンとディスプレイの間をデジタル信号で接続できるため、ノイズの影響を受けにくく、液晶ディスプレイの画素と1対1で対応させた、くっきりした表示が可能になります。一部のDVIコネクタはアナログ信号にも対応しており、アナログRGBからの移行期を支える役割も果たしました。
DVIは主にPC向けディスプレイで使われ、家庭用AV機器の世界では後述のHDMIが主流となりました。現在では、より高解像度・高リフレッシュレートに対応しやすいDisplayPortへの移行が進みつつありますが、業務用機器や既存環境ではDVI端子が使われているケースも少なくありません。
HDMI
HDMI(High-Definition Multimedia Interface)は、映像と音声の両方を1本のケーブルでデジタル伝送できるインタフェースです。家庭用テレビやゲーム機、レコーダ、PCなど、AV機器とパソコンの両方で広く普及しています。高画質映像と多チャンネル音声を同時に扱えるため、テレビ周りの配線をシンプルにできるのが大きなメリットです。
一方、PC向けの細かな設定や多画面構成などでは、後述のDisplayPortが便利な場面もあります。それでも、HDMIポートを搭載したPCやディスプレイは多く、「テレビにつなぐならまずHDMI」とイメージしておけば問題ないケースがほとんどです。
DisplayPort
DisplayPortは、主にPCとディスプレイの接続に利用されるデジタル映像インタフェースです。高解像度かつ高リフレッシュレートの映像出力や、多画面出力に対応しやすい設計になっており、ゲーミングPCやプロフェッショナル向けディスプレイなどで重宝されています。音声信号を一緒に送れる点はHDMIと共通ですが、複数のディスプレイを数珠つなぎに接続できる機能(デイジーチェーン)など、PC用途を意識した特徴を持ちます。
近年では、小型コネクタのMini DisplayPortや、USB Type-C端子の中でDisplayPortの信号を扱うモードなども登場し、ノートPCと外付けモニタの接続方法として重要性が増しています。HDMIとの違いは細かな仕様に及びますが、「PC寄りの高機能映像インタフェース」と覚えておくと整理しやすくなります。
4. 無線インタフェースと近距離通信

この章では、有線インタフェースとは対照的に、ケーブルを使わずにデータをやり取りする無線インタフェースとして、Bluetooth、IrDA、RFID、NFCの特徴と用途を解説します。
Bluetooth
Bluetoothは、数メートルから数十メートル程度の近距離で、音声やデータを無線伝送するための規格です。ワイヤレスイヤホンやスピーカー、マウス、キーボード、スマートフォンとPCのテザリングなど、日常的な周辺機器との接続に広く使われています。ペアリングと呼ばれる手順で機器同士を登録し、一度登録しておけば自動的に再接続できるのが便利な点です。
通信速度はWi-Fiほど高速ではありませんが、必要な電力が比較的小さいことから、電池駆動の小型機器と相性が良いです。ケーブルのわずらわしさを解消しつつ、音声やちょっとしたデータをやり取りする場面では、Bluetoothが第一候補となることが多いでしょう。
IrDA
IrDA(Infrared Data Association)は、赤外線を使った近距離無線インタフェースです。赤外線リモコンと同じように、送信側と受信側が“お互いの向きを合わせる”必要があり、障害物があると通信できません。かつては携帯電話同士でのデータ交換や、ノートPCとプリンタの接続などに使われていました。
現在はBluetoothやWi-Fiの普及により、IrDAを搭載した機器はあまり見かけなくなりましたが、試験勉強では「赤外線を使った、見通しのある範囲での近距離通信」というイメージを押さえておくと良いでしょう。リモコンなど、単方向の制御用途では赤外線が今も広く使われています。
RFID
RFID(Radio Frequency Identification)は、電波を用いてタグとリーダ/ライタの間で情報をやり取りする技術です。ICタグや電子タグと呼ばれる小さなチップに個体識別情報などを記録し、商品管理や入退室管理、物流トラッキングなどに利用します。読み取りには専用のリーダを用い、タグをかざしたり、一定の範囲に入ったりするだけで識別が可能です。
RFIDタグの中には、電源を持たず、リーダからの電波で動作するパッシブ型もあります。これにより、バッテリ交換なしで長期間利用できるというメリットがあります。一方で、読み取り距離やコスト、安全性の確保など、用途に応じた設計が必要です。身近な例としては、入退室カードや物流用ラベルなどが挙げられます。
NFC
NFC(Near Field Communication)は、「ごく近距離」での無線通信を行う規格で、RFID技術をベースにしています。数センチ程度まで近づけることを前提としているため、意図しない相手との通信が起きにくく、非接触ICカードやスマートフォン決済、交通系ICカードなどの用途に適しています。読み取り機にタッチするだけで認証や支払いが完了する仕組みは、このNFCが支えています。
NFCは、RFIDの一種として位置づけられることもありますが、「非常に短い距離での通信」「主に決済や認証などの用途」という点を押さえておくと整理しやすくなります。スマートフォン同士をタッチしてデータ交換を行う機能なども、一部はNFCを利用しています。
まとめ
本記事では、入出力インタフェースの基本的な考え方として、アナログ/デジタル信号やシリアル/パラレル転送の違いを整理し、現在はデジタルかつシリアル方式が主流であることを確認しました。信号の表現方法や転送方式を理解しておくと、新しい規格に出会ったときにも、その位置づけをイメージしやすくなります。
続いて、有線インタフェースとしてUSBや各種映像インタフェース(アナログRGB、DVI、HDMI、DisplayPort)を取り上げました。USBは周辺機器接続の“万能ポート”として、Type-A/Type-B/Type-Cといったコネクタ形状を使い分けながら発展してきました。映像系では、アナログRGBからDVI・HDMI・DisplayPortとデジタル方式への流れが進み、高解像度・高画質表示や音声の同時伝送、多画面出力といった機能が充実してきたことを押さえました。
最後に、無線インタフェースとしてBluetooth・IrDA・RFID・NFCの特徴と用途を整理しました。Bluetoothはケーブル代わりの近距離無線、IrDAは赤外線を用いた見通し通信、RFIDはタグを識別するための電波通信、NFCはごく近距離での決済・認証向け通信として、それぞれ得意分野が異なります。入出力インタフェースを学ぶ際には、「有線か無線か」「どんな信号・転送方式か」「どのような距離・用途に適しているか」という観点で整理しておくと、用語が単なる暗記ではなく、実際の機器やサービスと結び付いた知識として定着しやすくなります。


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