【ITパスポート試験】No.111|記憶階層

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本記事では、コンピュータの記憶装置が「キャッシュメモリ」「主記憶」「補助記憶」という複数の層に分かれている理由と、それぞれの役割や速度・容量の違いを整理しながら、記憶階層という考え方を分かりやすく解説します。


目次

1. 記憶階層の全体像をつかもう

この章では、記憶階層とはどのような考え方なのか、なぜメモリが一種類ではなく層構造になっているのかを整理します。

記憶階層とは

コンピュータの世界では、メモリは一種類だけではありません。CPUにとても近くて速いものから、遠くて遅いけれど大容量のものまで、性質の違う記憶装置がいくつも存在します。これらを「速い順・近い順」に階層構造としてとらえたものが、記憶階層と呼ばれる考え方です。上の段に行くほど高速・小容量・高価、下の段に行くほど低速・大容量・安価になるとイメージすると分かりやすいです。

CPUは本来、ものすごいスピードで命令を処理できますが、遠くの補助記憶から直接データを読み書きしていたのでは、待ち時間ばかり長くなってしまいます。そこで、CPUのすぐそばに高速な記憶装置を置き、その下に少し遅いが大きめの主記憶、さらにその下に巨大な補助記憶、というように階層を重ねておきます。よく使うデータほど上の階層に置くことで、全体としては大容量と高速性の両方を両立させているのがポイントです。


2. 高速側の層:キャッシュメモリと主記憶

この章では、CPUに最も近いキャッシュメモリと、その下の層に位置する主記憶について、それぞれの役割と違いを見ていきます。

キャッシュメモリ

キャッシュメモリは、CPUのすぐ近く、あるいは同じチップの中に搭載されることが多い、超高速かつ容量の小さいメモリです。CPUは命令やデータに何度もアクセスすることがよくあるため、「最近使ったもの」や「近いうちに使いそうなもの」をキャッシュメモリにコピーしておき、必要になったときに素早く取り出せるようにしています。書類仕事で言えば、よく使う資料だけを机の上に置き、残りは本棚にしまっておくイメージです。

キャッシュメモリがないと、CPUは少し離れた主記憶から毎回データを取りに行く必要があり、そのたびに待ち時間が発生してしまいます。キャッシュはその“往復”を減らすことで、CPUの持つ計算能力を無駄なく発揮させる役割を担っています。ただし、キャッシュメモリは非常に高価なため、容量を大きくすることは難しく、少量のメモリを賢く使うために、どのデータを置いてどれを追い出すかといった制御が内部で自動的に行われています。

主記憶

主記憶は、一般的に「メモリ」や「RAM」と呼ばれる部分に相当し、実行中のプログラムやそのデータが置かれる場所です。キャッシュメモリほど高速ではありませんが、その分容量が大きく、複数のアプリケーションや大量のデータを同時に扱えるだけのスペースを提供します。CPUは、主記憶に置かれた命令やデータを読み込みながら処理を進め、その一部がさらにキャッシュメモリへコピーされて高速アクセスに利用されます。

主記憶は揮発性メモリであり、電源を切ると内容が失われるという特徴があります。そのため、保存しておきたいファイルは後述する補助記憶に書き出す必要があります。主記憶の容量が不足すると、一時的に補助記憶を仮想メモリとして利用することになり、アクセス速度が大きく低下してしまいます。このため、快適な動作を実現するには、キャッシュメモリと主記憶のバランスが重要であり、よく使う情報をできるだけ高速な層に置くことが記憶階層の基本的な考え方になります。


3. 低速・大容量の層:補助記憶

この章では、記憶階層の中で最も容量が大きく、長期保存を担う補助記憶について、その役割と主記憶との関係を整理します。

補助記憶

補助記憶は、HDDやSSDなど、電源を切ってもデータを保持し続ける記憶装置の総称です。容量は主記憶よりも格段に大きく、OSやアプリケーション本体、写真や動画、文書ファイルなど、あらゆるデータを長期間保存しておく「倉庫」の役割を果たします。アクセス速度は主記憶より遅いため、CPUが直接頻繁にやり取りするには向きませんが、「たくさんのデータを安く、安全に置いておく」ことには非常に適しています。

プログラムを実行するときは、まず補助記憶に保存されているファイルを主記憶に読み込み、その後CPUが主記憶やキャッシュメモリからデータを取り出しながら処理していきます。処理が終わって結果を保存したいときには、再び主記憶から補助記憶へデータを書き戻します。このように、補助記憶は記憶階層の中で一番下に位置しつつ、起動時や保存時など、節目となるタイミングで大きな役割を担っています。記憶階層の全体像を理解すると、「なぜ同じ“メモリ”でも速度や容量・価格が大きく違うのか」が見えやすくなります。


まとめ

本記事では、記憶階層という考え方を通じて、コンピュータの記憶装置が速度・容量・価格のバランスを取るために複数の層に分かれていることを確認しました。頻繁に使う情報をCPUに近い層へ、あまり使わないが消したくない情報を下の層へと分散させることで、全体として効率の良い情報処理を実現しているのがポイントです。

具体的には、CPUのすぐ近くで超高速に動作するキャッシュメモリ、実行中のプログラムやデータを置く主記憶(RAM)、そして長期保存と大容量を担当する補助記憶(HDDやSSDなど)の三つの役割を整理しました。キャッシュメモリと主記憶は揮発性であり、電源を切ると内容が消える一方、補助記憶は不揮発性でデータを保持し続けます。どの層も単独で完結しているわけではなく、キャッシュが主記憶の一部をコピーし、主記憶が補助記憶から必要なデータを読み込むことで、階層全体が連携して動いていることが分かります。

記憶階層の考え方を理解しておくと、メモリ増設やストレージの選択、性能評価の際に「どこがボトルネックになっているのか」を考えやすくなります。たとえば、主記憶が不足すると補助記憶へのアクセスが増えて動作が重くなることや、キャッシュメモリの工夫によってCPUの待ち時間を減らしていることなど、スペック表の数字の背景にある仕組みが具体的にイメージできるようになります。試験の学習でも、単に用語を暗記するのではなく、「階層ごとの役割分担と連携」という観点で整理しておくことが理解を深める近道になります。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
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