本記事では、コンピュータの「記憶」を担うメモリについて、RAMやROMといった基本用語から、揮発性メモリ・不揮発性メモリの性質、さらにDDR3/DDR4/DDR5といった主記憶の世代の違い、DIMM・SO-DIMMといった形状の違いまでを整理し、メモリ容量やアクセス速度の違いをイメージできるように解説します。
1. メモリの役割と大まかな分類

この章では、メモリ全体の役割と、RAM・ROMという基本的な種類、そして揮発性・不揮発性という性質の違いを整理します。
RAM
RAM(Random Access Memory)は、CPUが処理を行うときの「作業台」にあたるメモリです。プログラムを実行するときや、ファイルを開いているとき、そのデータは一度RAMに読み込まれてから処理されます。RAMは読み書きの速度が非常に速いため、CPUがテンポよく命令を実行できるよう支えています。このため、RAMの容量が多いほど、同時に開いておけるアプリやデータが増え、動作の快適さに直結しやすくなります。
一方で、RAMは電源を切ると内容が消えてしまう性質があります。そのため、長期的にデータを保存する用途には向いておらず、保存しておきたいファイルはHDDやSSDなどの補助記憶装置に書き込む必要があります。コンピュータを再起動すると、RAMの中身が一度リセットされるのはこのためです。
ROM
ROM(Read Only Memory)は、その名の通り「主に読み出し専用」で使われるメモリです。電源を切っても内容が消えないため、起動に必要な基本的なプログラム(ファームウェアなど)を保存しておく用途に使われます。PCを電源オンした直後に動き出す初期化処理や、機器の基本動作を決める低レベルなプログラムが格納されているのが代表例です。
かつてのROMは、一度書き込んだら書き換えできないものが主流でしたが、現在はフラッシュメモリ型のROM(書き換え可能な不揮発性メモリ)が多く使われています。それでも、通常の利用者が頻繁に書き換える領域ではなく、機器メーカーが出荷時やアップデート時に更新する、といった使い方が中心です。RAMとROMの違いを押さえると、「よく変わる情報」と「基本的に変わらない情報」がどこに保存されているかがイメージしやすくなります。
揮発性メモリ
揮発性メモリとは、電源を切ると内容が消えてしまうタイプのメモリを指します。先ほど説明したRAMは、典型的な揮発性メモリです。電源が供給されている間だけデータを保持し、電源を落としたり停電が起きたりすると中身が消えてしまいます。その代わり、読み書きの速度は非常に速く、大量のアクセスが必要な「作業用メモリ」として適しています。
この性質から、揮発性メモリは「一時的な作業領域」として使い、重要なデータはHDD・SSDなどの不揮発性の記憶装置に保存する、という役割分担が行われています。メモリ容量が足りないと、OSは補助記憶装置を仮想メモリとして使って不足分を補いますが、アクセス速度が大きく落ちるため、処理が重く感じられるようになります。揮発性メモリの速さと「消えてしまう」性質をセットで覚えておくと良いでしょう。
不攪発性メモリ(代表例:フラッシュメモリ)
不揮発性メモリとは、電源を切っても内容が保持されるメモリの総称です。代表例がフラッシュメモリで、USBメモリやSDカード、SSD、スマートフォンの内部ストレージなど、多くの製品で使われています。フラッシュメモリは、RAMほどの高速性はありませんが、機械的な可動部分がなく、消費電力が小さいことが特徴です。
フラッシュメモリはROMの一種として扱われることもありますが、ユーザが自由に読み書きできる点で、従来の読み出し専用ROMとは用途が少し異なります。OSやアプリの本体、写真や動画といったデータの保存先として幅広く利用されており、HDDからSSDへの移行が進んだことで、一般ユーザにとっても身近な存在になりました。「電源を切っても残っていて、しかも高速な記憶装置」というイメージで押さえておくと良いでしょう。
2. 主記憶を支えるDDRメモリの世代

この章では、PCの主記憶として使われるDDR SDRAMの世代(DDR3・DDR4・DDR5)について、それぞれの違いを、高度な数値に踏み込まずイメージ中心で整理します。
DDR3 SDRAM
DDR3 SDRAMは、しばらくの間PCやサーバで主流だったメモリ規格です。SDRAMという、クロックに同期して動作するDRAMをベースに、クロックの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを転送する「DDR(Double Data Rate)」という仕組みを採用しています。これにより、同じクロック周波数でも、より多くのデータをやり取りできるようになっています。
現在では新しいPCで選ばれることは少なくなってきましたが、業務用の既存システムや古めのPCではまだ多く利用されています。ITパスポート試験の学習では、「DDR3は一世代前の主流メモリで、現在は後継のDDR4・DDR5へ世代交代している」という位置づけを理解しておくと十分です。
DDR4 SDRAM
DDR4 SDRAMは、DDR3の後継として広く普及しているメモリ規格です。転送速度の向上や省電力化が進んでおり、同じ時間でより多くのデータを処理できるようになっています。近年のデスクトップPCやノートPC、サーバなどで多く採用されてきたのがこのDDR4です。
DDR4では、より高いクロック周波数で安定して動作できるよう設計が工夫されており、大容量化も進んでいます。その結果、大規模なデータ処理や仮想化環境、ゲームなど、メモリ帯域が重要な用途でも高い性能を発揮します。スペック表で「DDR4 〇〇GB」といった表記を見かけたら、「現行主流クラスのメモリ」と捉えておくと分かりやすいでしょう。
DDR5 SDRAM
DDR5 SDRAMは、さらに新しい世代のメモリ規格です。DDR4よりも一層高い帯域幅と大容量化を目指して設計されており、同じ時間に転送できるデータ量が増えています。最新のCPUやマザーボードと組み合わせることで、AI処理や大規模なデータ分析、最新ゲームなど、メモリ負荷の高い用途で威力を発揮することが期待されています。
ただし、DDR5に対応した機器でなければ利用できないため、既存システムにそのまま差し替えることはできません。メモリは世代ごとにソケット形状や電圧仕様が異なり、互換性がないことが多いため、「DDR◯に対応したマザーボードかどうか」が重要なポイントになります。世代が新しくなるほど、一般的には高速化・大容量化・省電力化が進む、と押さえておけば、試験でも判断しやすくなります。
3. メモリモジュールの形状と搭載方法

この章では、メモリチップをまとめた「部品」としての形状であるDIMMとSO-DIMMについて、どのような違いがあるのかを説明します。
DIMM
DIMM(Dual Inline Memory Module)は、デスクトップPCなどでよく見かける、細長い板状のメモリモジュールです。基板の両面に端子が配置されていることから「Dual Inline」と呼ばれており、DDR3/DDR4/DDR5といったメモリチップをこのモジュール上に実装して、マザーボードのスロットに挿して使います。ユーザが後からメモリを増設したり交換したりできるのは、このDIMMが部品として取り扱える形をしているからです。
DIMMは、サイズに余裕のあるデスクトップPC向けに設計されているため、物理的な長さがあり、搭載できるメモリチップの数も比較的多くなります。その分、大容量のメモリ構成を取りやすく、高性能なシステムやサーバなどで重宝されます。スペック表では、「DDR4 8GB DIMM×2枚」といった形で記載されることが多いです。
SO-DIMM
SO-DIMM(Small Outline DIMM)は、その名の通りDIMMを小型化したメモリモジュールで、主にノートPCや小型PC、一部の小型機器で使われます。基本的な役割はDIMMと同じですが、基板の長さが短く、コンパクトな筐体にも収まるよう設計されています。ノートPCの底面カバーを開けると、小さめのメモリモジュールが斜めに差し込まれていることがありますが、それがSO-DIMMです。
SO-DIMMは小型である分、搭載できるメモリチップの数に制約があり、同じ世代・同じ枚数なら、一般的にデスクトップ向けDIMMより最大容量が小さくなることがあります。それでも、世代が進むにつれてSO-DIMMでも十分な容量が確保できるようになってきており、モバイル環境でも大きなアプリや複数のタスクを快適に扱えるようになっています。DIMMとSO-DIMMの違いは「大きさと用途」と覚えておくと、スペック表を見たときにイメージしやすくなります。
まとめ
ここまで、メモリの基本的な種類と特徴について、容量やアクセス速度、性質の違いという観点から整理してきました。RAMは高速な作業領域、ROMやフラッシュメモリは電源を切っても残る情報の保存先という役割を持ち、揮発性メモリ・不揮発性メモリという分類でその性質の違いを理解できることを確認しました。
さらに、主記憶として使われるDDR3/DDR4/DDR5 SDRAMについて、世代が新しくなるほど一般に高速化・大容量化・省電力化が進むことを見てきました。メモリの世代によって対応するマザーボードやCPUが異なり、互換性がない場合も多いことから、「どの規格に対応しているか」を意識することが大切です。また、DIMMとSO-DIMMというモジュール形状の違いを押さえることで、デスクトップPC・ノートPCそれぞれでどのようにメモリが搭載されているのかもイメージしやすくなります。
メモリは、CPUと並んでコンピュータの性能に大きく影響する要素です。容量が不足していたり、速度の遅いメモリを使っていたりすると、せっかく高性能なCPUや高速なストレージを用意しても、全体の足を引っ張ってしまうことがあります。RAMとROM、揮発性と不揮発性、DDRの世代やモジュール形式といった基本的な用語の意味を理解しておけば、スペック表を読んだときに「どの程度の性能が期待できるのか」「どこがボトルネックになりそうか」をある程度判断できるようになります。試験だけでなく、PCや機器を選ぶときにも役立つ知識として、しっかり押さえておきましょう。


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