本記事では、コンピュータが処理を行うときの筋道であるアルゴリズムについて、その中でも特に重要な「順次」「選択」「繰返し」という三つの基本構造を中心に、フローチャートや日常の例を交えながら分かりやすく整理します。
1. アルゴリズムと処理の流れをイメージしよう

この章では、そもそもアルゴリズムとは何か、そしてなぜ「基本構造」を押さえることが大切なのかを整理し、後の章で学ぶ順次・選択・繰返しの理解につなげていきます。
アルゴリズムとは何か
アルゴリズムとは、問題を解決するための手順や計算方法のことです。料理のレシピや、駅から会社までの道順など、日常生活の中にも「決められた手順」はたくさんあります。コンピュータの世界では、こうした手順をより厳密に書き下ろしたものをアルゴリズムと呼びます。
アルゴリズムがはっきりしていれば、どのようなデータを入力しても、同じ手順で処理が進み、決まった結果を得ることができます。逆に、手順があいまいだと、人によって作業の仕方や結果が変わってしまいます。コンピュータに仕事を任せるためには、「何をどの順番で行うか」を一つひとつ明確にすることが欠かせません。
基本構造を学ぶ理由
どんなに複雑に見えるプログラムでも、細かく分解すると「順次」「選択」「繰返し」という三つの構造の組合せで表現できます。これは、文章が最終的には「ひらがな・カタカナ・漢字」の組合せでできているのと少し似ています。基本構造を理解しておくことで、長い処理の流れも整理して考えられるようになります。
また、試験問題ではフローチャートや擬似言語の問題が出題されますが、どれも結局はこの三つの構造を読み取れるかどうかがポイントになります。はじめから難しいプログラムを丸暗記しようとするのではなく、まずは「処理の型」をしっかり身につけておくことが効率的な学習につながります。
2. 三つの基本構造を押さえよう

この章では、アルゴリズムを形作る三つの基本構造である順次構造・選択構造・繰返し構造について、それぞれの意味と典型的な使い方を確認します。
順次構造(順番に処理する)
順次構造は、指示された処理を上から順番に一つずつ実行していく形です。例えば、「1. 氏名を入力する」「2. 金額を入力する」「3. 合計金額を表示する」という手順を、そのまま上から順番にこなしていくイメージです。途中で分かれ道はなく、処理の流れは常に一方向です。
この構造は最も単純ですが、すべてのアルゴリズムの土台になります。実際のプログラムでは、選択構造や繰返し構造の中にも、必ず順次構造が含まれています。「まずAをして、その次にBをする」という手順を意識できると、処理の流れを整理して考える力が身につきます。
選択構造(条件で処理を分ける)
選択構造は、「もし〜なら…、そうでなければ…」というように、条件によって実行する処理を変える構造です。例えば、「残高が0より大きければ引き出し処理を行い、そうでなければエラーメッセージを表示する」といった形です。フローチャートでは、ひし形の判断記号で表されることが多いです。
この構造によって、アルゴリズムは状況に応じた柔軟な動きをとれるようになります。実務でも、「会員かどうかで料金を変える」「在庫がなければ受注を止める」など、条件による分岐はあらゆる場面で登場します。条件式が何を意味しているか、分岐後にどの処理が実行されるかを丁寧に追いかけることが、選択構造を読み解くコツです。
繰返し構造(同じ処理を繰り返す)
繰返し構造は、同じ処理を条件が満たされる間、何度も繰り返し実行する構造です。例えば、「商品の一覧を先頭から順番に読み取り、在庫数が0のものだけを表示する」といった処理では、リストの最後まで同じ操作を繰り返します。フローチャートでは、矢印が前の処理に戻っていくループの形で表現されます。
繰返し構造を使うことで、大量のデータを効率よく処理できます。ただし、「いつ繰り返しを終えるか」を正しく指定しないと、処理が永遠に終わらない無限ループになってしまう危険があります。回数で区切るのか、条件が満たされたら抜けるのかなど、終了条件を必ず意識しておくことが大切です。
3. 基本構造の組合せと表現方法

この章では、順次・選択・繰返しという基本構造をどのように組み合わせてアルゴリズムを作るのか、またフローチャートや擬似言語でどのように表現されるのかを確認し、実際の問題を読み解く力につなげていきます。
基本構造の組合せでアルゴリズムを作る
実際のアルゴリズムは、順次・選択・繰返しの三つの構造が入れ子になったり、横に並んだりしながら組み合わさっています。例えば、「会員かどうかを選択構造で分け、その中で複数の項目を順次処理し、必要に応じて繰返し処理を行う」といった形です。一見複雑に見える処理でも、どの部分がどの基本構造かを分解して考えると理解しやすくなります。
問題演習をするときは、フローチャートやコードを眺めるだけでなく、「今は順次構造のどこか」「ここで条件分岐が起きている」「この矢印は繰返しのループだ」といった視点で、処理の流れを頭の中でシミュレーションしてみると効果的です。こうした訓練を重ねることで、長い手順を扱う問題にも落ち着いて対応できるようになります。
フローチャートでの表現
フローチャートは、アルゴリズムを図解したものです。開始・終了の丸や楕円、処理を表す四角、条件判断のひし形など、決まった記号を組み合わせて処理の流れを表現します。順次構造は、四角形が上から下に素直に並んでいる部分、選択構造はひし形から「はい」「いいえ」に分かれる部分、繰返し構造は矢印が前の記号に戻っていくループ部分として読み取れます。
フローチャートの問題では、「どのルートを通るとどの処理が行われるか」を追いかけることが重要です。スタートから矢印に従ってたどり、条件判断のところでは「はい」「いいえ」それぞれの流れを確認します。紙にメモを取りながら、具体的な値を当てはめてシミュレーションしてみると、動きが格段につかみやすくなります。
擬似言語・プログラミングとのつながり
擬似言語や実際のプログラミング言語でも、三つの基本構造はそのまま対応しています。順次構造は上から順番に書かれた命令文、選択構造は「if」「else」などの条件分岐、繰返し構造は「for」「while」といった繰返しの文にあたります。文章の見た目は違っても、「何を条件にどこへ進むのか」という考え方は共通です。
そのため、フローチャートだけでなく、簡単なプログラムの断片を見たときにも、「ここが選択構造」「ここが繰返し構造」と置き換えて考えられるようになると理解が深まります。難しそうなコードも、基本構造に分解してしまえば、処理の流れをイメージしやすくなるはずです。
まとめ
本記事では、アルゴリズムの基本構造として、処理をそのまま実行する順次構造、条件によって処理を分ける選択構造、同じ処理を繰り返す繰返し構造の三つを中心に、処理の流れをどのように考えるかを整理しました。まずは、どの構造も日常の手順に置き換えて考えられることを意識すると、ぐっと身近に感じられます。
これらの基本構造は、単独で使われるだけでなく、組み合わせることで複雑なアルゴリズムを表現します。フローチャートであれば、四角・ひし形・矢印を通して、プログラムであればif文やループ文を通して、それぞれの構造が表現されています。図やコードを読むときには、「今、どの基本構造が使われているのか」を意識して追いかけることで、処理の流れを頭の中でシミュレーションしやすくなります。
アルゴリズムは、コンピュータに限らず、仕事の手順を整理したり、業務フローを見直したりするときにも役立つ考え方です。順次・選択・繰返しという三つの型を理解しておけば、フローチャートの問題や擬似言語の問題にも落ち着いて対応できるようになります。基礎をしっかり押さえたうえで、実際の問題を解きながら、自分なりに「処理の流れを言葉にして説明できるか」を意識して練習していくことが大切です。


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