本記事では、情報システムに関する監査業務について解説します。情報システムが正しく運用されているか、法令や社内ルールを守っているかを確認するために、どのような目的で監査が行われ、どんな種類があるのかを整理します。あわせて、会計監査、業務監査、情報セキュリティ監査、システム監査といった代表的な監査の特徴を紹介していきます。
1. 情報システム監査の目的を押さえる

この章では、そもそも情報システムに関する監査がなぜ必要なのか、その目的を整理します。監査は、単なる「チェック」ではなく、企業の信頼性や業務の改善につなげるための重要な活動です。
情報システム監査とは
情報システム監査とは、企業が利用している情報システムについて、運用方法や管理体制、仕組みそのものが適切かどうかを第三者の立場から評価・確認する活動のことです。ここでいう第三者とは、社外の監査人だけでなく、内部監査部門のように業務部門から独立した組織も含みます。
監査では、システムの設計書や運用マニュアル、ログ、各種記録などを確認し、実際の運用状況とも照らし合わせながら、「ルール通りに運用されているか」「リスクに対して十分な対策が取られているか」などを検証します。その結果、問題があれば改善を勧告し、企業がより安全で効率的なシステム運用を行えるように支援します。
監査の主な目的
情報システムに関する監査の目的は、大きく分けると、信頼性の確保、法令遵守の確認、業務の効率化・改善の促進の三つがあります。
まず、信頼性の確保とは、システムが正確に処理を行っているか、データが誤っていないかを確認することです。特に会計情報など、外部報告にも使われるデータの信頼性は、企業の信用に直結します。
次に、法令遵守の確認では、個人情報保護やセキュリティ関連の法律、業界ごとの規制などを守った運用になっているかをチェックします。違反があれば、罰則や社会的な非難を受ける可能性があるため、監査による事前の確認が重要になります。
最後に、業務の効率化・改善の促進です。監査では、無駄な手順や重複作業、非効率な運用方法なども見えてきます。監査結果を踏まえて業務プロセスやシステム構成を見直すことで、コスト削減や業務品質の向上を図ることができます。
2. 会計・業務に関する監査の種類

この章では、情報システムと深く関わる会計監査と業務監査について解説します。どちらも企業活動を支える重要な監査であり、その裏側では情報システムが欠かせない役割を担っています。
会計監査
会計監査は、企業が作成した財務諸表が適正であり、会計基準に従って作成されているかを確認する監査です。一般的には、公認会計士や監査法人が外部監査人として実施します。
近年では、売上や仕入、在庫、給与計算など、多くの会計データが情報システムで処理されています。そのため、会計監査では、帳簿の数字だけでなく、システムが正しいルールで処理を行っているか、アクセス権限や入力チェックが適切かどうかといった点も重要な確認項目となります。
情報システムが正しく動いていなければ、数字自体が信頼できなくなります。会計監査と情報システム監査は、このように密接に結びついていると理解しておくとよいでしょう。
業務監査
業務監査は、企業の業務プロセス全体を対象に、その有効性や効率性、遵守状況などを評価する監査です。たとえば、受発注の流れ、在庫管理の手順、顧客対応のプロセスなどが対象になります。
情報システムは、業務プロセスを支える重要なツールであるため、業務監査でもシステムの利用状況が重視されます。業務手順がシステムの機能に合っているか、システムへの入力が正しく行われているか、承認フローが適切にシステム上で実現されているかなどが確認されます。
業務監査の結果から、システムの改善点や、システムを活用した業務の効率化策が見つかることも多く、業務改革のきっかけとしても重要な役割を果たします。
3. セキュリティとシステムに焦点を当てた監査

この章では、情報システムの安全性や仕組みそのものに焦点を当てた、情報セキュリティ監査とシステム監査について説明します。近年のサイバー攻撃の増加やシステム障害の影響の大きさから、これらの監査の重要性は高まっています。
情報セキュリティ監査
情報セキュリティ監査は、企業の情報セキュリティ対策が十分かどうかを評価する監査です。対象となるのは、技術的な仕組みだけでなく、社内規程や運用ルール、従業員の教育・啓発なども含まれます。
具体的には、アクセス制御や認証の仕組み、ネットワークの防御、ウイルス対策、バックアップ体制、ログの取得・保管などが適切かどうかを確認します。また、インシデント発生時の対応手順が整備されているか、実際に訓練が行われているかといった点も重要なチェックポイントです。
情報セキュリティ監査によって、潜在的な弱点やルールの形骸化が明らかになり、対策の見直しや運用改善につなげることができます。
システム監査
システム監査は、情報システムの計画、開発、運用、保守といったライフサイクル全体を対象に、その有効性、効率性、信頼性、安全性などを評価する監査です。情報システムに特化した監査と考えるとイメージしやすいでしょう。
たとえば、新しいシステムを開発するときに、要件定義やテストが十分か、プロジェクト管理が適切かを確認したり、稼働中のシステムについて、障害対応や変更管理がルール通りに行われているかをチェックしたりします。
システム監査の結果は、システムの品質向上だけでなく、IT投資の妥当性の検証や、将来のシステム計画の見直しにも役立ちます。情報システムを企業活動の基盤として活用していくために、システム監査は欠かせない視点となっています。
まとめ
監査業務は、情報システムが安全かつ効率的に運用され、企業の信頼性を損なわないようにするための重要な仕組みです。情報システム監査では、システムの運用や管理体制を客観的に評価することで、信頼性の確保、法令遵守の確認、業務改善のきっかけづくりという三つの目的を果たしていきます。
具体的な監査の種類としては、財務情報の正しさを確認する会計監査や、業務プロセス全体を評価する業務監査、セキュリティ対策を点検する情報セキュリティ監査、情報システムそのものを対象とするシステム監査があります。これらは対象や観点こそ異なりますが、いずれも情報システムと密接に関わりながら、企業活動を支えています。
ITパスポート試験では、それぞれの監査の名称と対象範囲、目的を大まかに押さえておくことが大切です。日常のニュースや自社の取り組みと結び付けて考えることで、単なる用語の暗記ではなく、実務に生きる知識として理解を深めていきましょう。


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