本記事では、コンピュータやネットワークが安定して動き続けるために欠かせない「システム環境整備」について解説します。電源トラブルや落雷など、ちょっとしたきっかけで業務が止まらないようにするための考え方と、代表的な設備である無停電電源装置(UPS)、自家発電装置、サージ防護について整理していきます。
1. システム環境整備の役割と重要性

この章では、そもそもシステム環境整備とは何か、その必要性について説明します。機器そのものだけでなく、機器を置く部屋や電源、空調などの「環境」を整えることが、安定運用にどれほど重要かを押さえておきましょう。
システム環境整備とは
システム環境整備とは、コンピュータやネットワークなどの情報システムを、安定して安全に動かすために、周囲の環境や施設・設備を整える取り組みのことです。ここでいう環境には、電源、空調、配線、設置場所の安全性など、ハードウェアを取り巻くさまざまな要素が含まれます。
コンピュータやネットワーク機器は、安定した電源と適切な温度・湿度が保たれている環境でこそ、本来の性能を発揮できます。逆に、電源の瞬断や電圧の変動、温度上昇などがあると、処理速度の低下や誤動作、故障の原因になります。そのため、機器の性能だけでなく、こうした環境要因も合わせて整えることが重要になります。
障害発生時の影響とリスク
システム環境整備が不十分な場合、停電や落雷、電源ノイズなど、さまざまなトラブルが発生したときに大きな影響が出ます。突然の停電でサーバの電源が落ちると、処理中のデータが壊れたり、ファイルシステムに障害が発生したりして、復旧に多くの時間とコストがかかることがあります。
また、業務システムが停止すると、受発注や決済ができなくなったり、顧客対応が止まったりと、ビジネスそのものが止まってしまう場合もあります。こうしたリスクを減らすためには、「停電が起きたらどうするか」「雷が直撃したらどう守るか」といった観点から、電源対策や防災対策を含めて計画的に設備を整えておく必要があります。ITパスポート試験では、このように環境面の備えも情報システムの一部として理解しているかが問われます。
2. 電源トラブルからシステムを守る設備

この章では、停電や電源障害が起きたときにシステムを守る代表的な設備について解説します。電源が途切れるとシステムは即座に停止し、処理中のデータが壊れたり業務が長時間止まったりするおそれがあります。こうしたリスクを軽減するのが、無停電電源装置や自家発電装置です。
無停電電源装置(UPS)
無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)は、停電が発生しても、短時間だけ電力を供給し続けるための装置です。内部にバッテリーを持っており、通常時は商用電源から機器へ電力を供給しつつ、バッテリーを充電しています。停電や電圧低下が起きた瞬間にバッテリーからの給電に切り替わることで、システムの停止を防ぐ仕組みです。
UPSがあると、サーバやネットワーク機器は急に電源が落ちることなく、OSを正常に終了させたり、別の電源(自家発電装置など)に切り替わるまで運転を続けられます。これにより、データ破損やファイルシステムの障害を大幅に減らすことができます。重要なサーバやネットワーク装置には、UPSを組み合わせて設置するのが一般的です。
自家発電装置
自家発電装置は、ビルや工場などの施設内で電力を自前で作り出す装置です。ディーゼルエンジンやガスタービンなどで発電機を回し、商用電源が長時間停止した場合でも、建物や重要設備に電力を供給できるようにします。
UPSが数分〜十数分程度の「つなぎ」の役割を担うのに対し、自家発電装置はより長時間の停電に対応するための設備です。停電が発生すると、自家発電装置が自動的に起動し、ビル全体または重要設備への給電を行います。情報システムの観点では、サーバールームやネットワーク機器、通信設備など、止めたくない設備がこの自家発電の対象になることが多くなります。
3. 落雷やノイズから機器を守るサージ防護

この章では、落雷や電源ノイズから機器を守る「サージ防護」について説明します。停電そのものだけでなく、瞬間的に大きな電圧がかかることも、情報機器にとっては大きな脅威です。
サージ防護
サージとは、落雷や電源切替などをきっかけに、電源線や通信線に一時的に流れる大きな過電圧・過電流のことを指します。このサージがコンピュータやネットワーク機器に侵入すると、内部回路が破損したり、誤動作を引き起こしたりする危険があります。
サージ防護では、サージ保護デバイス(SPD)や雷サージ保護付き電源タップなどを利用し、異常な電圧が機器に到達する前に逃がしたり吸収したりします。また、建物全体として避雷設備を整えたり、重要なケーブルを金属管の中に通すなど、物理的な対策と組み合わせることもあります。これらの対策により、雷が多い地域や電源品質が安定しない環境でも、情報システムを安全に運用できるようになります。
まとめ
システム環境整備は、コンピュータやネットワーク機器そのものではなく、それらを取り巻く「環境」を整える取り組みです。電源、施設、設備といった要素をしっかり整備しておくことで、日常の業務を安全かつ安定して続けることができます。
その中心となるのが、停電時に短時間の電力を供給する無停電電源装置(UPS)、長時間の停電にも対応する自家発電装置、そして落雷などによる異常電圧から機器を守るサージ防護といった設備です。これらはそれぞれ役割が異なり、組み合わせて導入することで、より強固なシステム環境が実現できます。
ITパスポート試験では、こうした設備の名称と役割を理解しているかが問われますが、実務の観点でも非常に重要な知識です。単に用語を暗記するだけでなく、「どんなトラブルに備えるための設備なのか」を意識しながら押さえておくと、より本質的な理解につながるでしょう。


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