【ITパスポート試験】No.036|価格設定手法

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商品やサービスの「いくらで売るか」は、企業の利益を左右する非常に重要なテーマです。同じ商品でも、価格の付け方次第で売れ行きや利益率、ブランドイメージまで大きく変わります。この記事では、代表的な価格設定手法として、スキミングプライシング、ペネトレーションプライシング、ダイナミックプライシングの考え方と特徴をわかりやすく解説します。


目次

1. 新商品を市場に出すときの価格戦略

この章では、新しい商品やサービスを市場に投入するときに使われる代表的な価格戦略を紹介します。特に、最初に高い価格からスタートするか、低い価格で一気に広げるかという二つの考え方がポイントになります。

スキミングプライシング

スキミングプライシングは、新製品を最初は高めの価格で販売し、その後、時間の経過とともに徐々に価格を下げていく戦略です。スキミングには「上澄みをすくい取る」という意味があり、まずは価格に敏感ではない層から高い利益を得て、そのあとで価格を下げながら対象顧客を広げていくイメージです。

最先端の家電製品や高機能なスマートフォンなどで見られることが多く、発売直後は高価格でも、「いち早く使いたい」顧客が購入してくれます。その後、競合商品の登場や時間の経過に合わせて値下げを行うことで、より価格に敏感な層にも販売を広げていきます。

この戦略は、製品に目新しさや独自性があり、当初は競合が少ない場合に有効ですが、価格を高く設定しすぎると、初期の販売数量が伸びないリスクもあります。

ペネトレーションプライシング

ペネトレーションプライシングは、新製品をあえて低価格でスタートし、一気に市場シェアを獲得することを狙う戦略です。ペネトレーションには「浸透」という意味があり、市場へ素早く浸透させることで、競合が参入しにくい状況をつくることを目指します。

低価格で多くの顧客に使ってもらえれば、早い段階で知名度や利用実績が高まり、「この分野ならこのブランド」という位置づけを取りやすくなります。また、生産量が増えることでコストを下げやすくなり、規模の経済のメリットも期待できます。

一方で、最初から低価格に慣れられてしまうと、後から値上げするのが難しくなるというデメリットもあります。採算が取れる価格かどうか、長期的な収益性を慎重に見極める必要があります。


2. 需要に合わせて変動させる価格戦略

この章では、固定された価格ではなく、状況に応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」について説明します。IT技術の活用と相性が良く、近年さまざまな分野で注目されている手法です。

ダイナミックプライシング

ダイナミックプライシングは、需要や在庫状況、時間帯、天候、イベントの有無などに応じて、価格を柔軟に変動させる価格戦略です。航空券やホテル料金、テーマパークのチケット、ECサイトの商品などで使われている例が多く見られます。

需要が高まる時期には価格を上げることで収益を最大化し、需要が低い時期には価格を下げて利用を促すことで、稼働率や販売数量を維持しやすくなります。企業にとっては、限られた座席・客室・在庫といった資源を有効に活用できる点が大きなメリットです。

一方で、同じ商品なのにタイミングによって価格が変わるため、顧客から「不公平だ」と感じられてしまうリスクもあります。価格変動のルールや理由を分かりやすく伝え、納得感を持ってもらう工夫が重要です。


まとめ

この記事では、代表的な価格設定手法として、スキミングプライシング、ペネトレーションプライシング、ダイナミックプライシングを紹介しました。

スキミングプライシングは、新製品を高価格で始めて、時間とともに価格を下げていくことで、初期の高い利益を狙う手法でした。ペネトレーションプライシングは、低価格で素早く市場に浸透し、シェアの獲得や規模の経済を狙うアプローチです。ダイナミックプライシングは、需要や状況に応じて価格を変動させ、収益や稼働率の最大化を図る考え方でした。

同じ商品であっても、「誰にどう売りたいか」「市場環境はどうか」「自社の狙いは何か」によって、最適な価格戦略は変わります。価格設定手法の特徴を理解しておくことで、単に「コストに利益を上乗せする」だけではない、戦略的な価格設定をイメージしやすくなります。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
サトシ ナカモトの戦友。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

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