【ITパスポート試験】No.001|企業活動と経営資源

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企業は利益を上げるためだけでなく、社会に価値を提供しながら長く存続していくことが求められます。その土台になるのが、企業活動の目的や企業理念、そしてそれを支えるヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源の考え方です。この記事では、ITパスポート試験のシラバスに沿って、企業活動と経営資源の基本を整理していきます。

目次

1. 企業活動の目的と基本的な考え方

企業は商品やサービスを提供し、その対価として利益を得る存在ですが、その目的は「儲けること」だけではありません。顧客に価値を提供し、従業員の働きがいを高め、地域社会や地球環境にも配慮しながら、持続的に価値を生み出し続けることが、現代の企業活動の基本的な考え方です。

その土台になるのが、企業の「存在意義」や「大切にしたい価値観」を言葉にした理念やミッション、ビジョンです。これらがはっきりしているほど、日々の意思決定や事業戦略がぶれにくくなります。

経営理念(企業理念)

経営理念(企業理念)とは、「この会社は何のために存在するのか」「どんな価値観を大切にするのか」を言葉にしたものです。企業の「信念」や「生き方」を表す、最も上位の考え方だとイメージすると分かりやすいです。

経営理念があることで、日々の意思決定に一貫性が生まれます。例えば、新しい事業を始めるときや、難しい選択を迫られたときでも、「理念に照らしてどうか」という基準で判断できるようになります。従業員にとっても、自分の仕事が企業の理念とどうつながっているのかを理解できると、働く意味ややりがいを感じやすくなります。

ITパスポート試験では、経営理念が企業活動全体の方向性を決める重要な要素であることを理解しておくとよいです。

MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)

MVVとは、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)の頭文字を取った言葉です。経営理念をより具体的に分解して整理したフレームワークと考えることができます。

ミッションは「企業の使命」であり、「何のために存在するのか」を表します。ビジョンは「将来こうありたい」という将来像です。バリューは「大切にする価値観や行動指針」を指します。この3つを明確にすることで、企業は中長期的な方向性を従業員と共有しやすくなります。

ITパスポート試験では、ミッションが「役割」、ビジョンが「目指す姿」、バリューが「行動の基準」という関係になっていることを押さえておくと、問題文を読んだときに理解しやすくなります。
MVVを明確にして社内外に発信することで、採用活動やブランド形成、意思決定の基準づくりに役立ちます。

パーパス経営

パーパス経営の「パーパス(Purpose)」は、「存在意義」という意味です。パーパス経営では、「企業はなぜ社会にとって必要な存在なのか」という視点を重視します。単に利益を追い求めるだけでなく、社会や地球環境に対してどのような価値をもたらすのかを明確にし、それを軸に経営を行う考え方です。

パーパスが明確だと、顧客や従業員、投資家が企業に共感しやすくなります。また、短期的な利益に振り回されにくくなり、長期的な視点で経営判断を行いやすくなるというメリットもあります。ITパスポート試験では、「企業の存在意義を重視する経営スタイル」として理解しておきましょう。

ステークホルダ

ステークホルダとは、企業活動によって利害の影響を受ける関係者全般を指します。具体的には、株主、従業員、顧客、取引先、金融機関、地域社会、行政機関などが含まれます。

かつては株主の利益を最優先する考え方が主流でしたが、現在ではステークホルダ全体のバランスを考えた経営が重視されています。例えば、従業員の働きやすさを無視して利益だけを追求すると、離職が増えて長期的には企業価値が下がってしまう可能性があります。このように、多様なステークホルダを意識した経営を行うことが、持続可能な企業活動につながります。

コーポレートブランド

コーポレートブランドとは、「この会社は信頼できる」「この会社の商品なら安心」といった、企業全体に対するイメージや評価のことです。商品ごとのブランドではなく、「企業そのもののブランド」である点が特徴です。

コーポレートブランドは、長年の企業活動の積み重ねによって形成されます。誠実な経営や、社会貢献活動、品質の高い商品やサービスの提供などが、ブランド価値を高める要素になります。ブランド力の高い企業は、顧客から選ばれやすくなり、優秀な人材も集まりやすくなるため、大きな経営資源と言えます。

2. 経営資源「ヒト・モノ・カネ・情報」をどう活かすか

企業活動を支える具体的な要素として、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの経営資源がよく取り上げられます。ヒトは人材や知識、モノは設備や商品、カネは資金、情報はデータやノウハウなどを指します。

これらの経営資源は単に持っているだけでは十分ではなく、戦略に沿って適切に「管理」し、「活用」することが重要です。人材育成や投資判断、情報システムの導入などの手法を通じて、経営資源をうまく組み合わせることで、競争力のある企業活動が実現します。

人的資本経営

人的資本経営とは、従業員を単なる「コスト」ではなく、「価値を生み出す資本」として捉える考え方です。従来は人件費を削減することが重視される場面も多くありましたが、人的資本経営では、教育・研修やキャリア支援、働きやすい環境づくりなどを通じて、人材の能力や意欲を高めることに力を入れます。

人材が成長すれば、新しいアイデアや高い生産性を通じて企業価値が向上します。そのため、人的資本に関する情報を外部に開示し、投資家などのステークホルダにアピールする動きも広がっています。ITパスポート試験では、「人を資本と見なして投資する経営スタイル」であることを押さえておきましょう。

株主総会

株主総会は、株式会社の株主が集まり、重要事項を決定する会議です。取締役の選任や解任、定款の変更、配当金の決定など、企業経営に大きな影響を与える項目が議題となります。

株主総会は、株主が経営陣を監督するための重要な機会です。企業は、株主に対して経営状況を説明し、質問に答える義務があります。このように、株主総会は「カネ」の出し手である株主と企業との信頼関係を保つ役割を担っています。

決算

決算とは、一定期間(多くは1年間)の企業活動の結果を、財務諸表としてまとめることです。売上や費用、利益、資産や負債の状況などを整理し、経営成績や財政状態を明らかにします。

決算によって作成される貸借対照表や損益計算書などは、株主や取引先、金融機関などが企業の信用力を判断する材料になります。また、経営者自身にとっても、次の経営方針を考えるための重要な情報源になります。ITパスポート試験では、「企業活動を数値で振り返る仕組み」として理解しておくとよいです。

監査

監査とは、企業が作成した財務諸表などが正しく作られているかどうかを、第三者がチェックする仕組みです。公認会計士や監査法人が、会計基準に沿って適正性を確認します。

監査が行われることで、財務情報への信頼性が高まり、投資家や取引先は安心して企業と取引することができます。ディスクロージャーと監査はセットで機能しており、「きちんと情報を開示する」「その内容が正しいか第三者が確認する」という二段構えで、企業への信頼を支えています。

ディスクロージャー

ディスクロージャーとは、企業が利害関係者に対して、経営状況や財務情報などを公開することです。代表的な例が、有価証券報告書や決算短信などの開示資料です。

適切なディスクロージャーを行うことで、投資家は企業の実態を把握しやすくなります。情報が十分に開示されていないと、公正な評価が難しくなり、市場の信頼も損なわれてしまいます。そのため、法律やルールに基づいて、正確でタイムリーな情報開示を行うことが求められています。

3. 企業のビジョンと社会的責任

企業理念やミッション、ビジョンは、企業がどこに向かって進むのかを示す「羅針盤」のような役割を果たします。これに対して、CSRやSDGsなどの考え方は、「どのような姿勢でその道を進むのか」を示すものだと考えると分かりやすいです。

現代の企業は、自社の成長と同時に、環境問題や人権問題など、地球規模の社会課題にも配慮することが求められています。次の用語を通じて、企業と社会との関わり方を整理しておきましょう。

社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)

CSRは、企業の社会的責任を意味します。企業が法律を守ることはもちろん、環境への配慮、地域社会への貢献、従業員の人権尊重など、社会の一員として果たすべき役割を広く捉えた考え方です。

CSRは「寄付やボランティアをすること」だけを指しているわけではありません。事業活動そのものを通じて、長期的な視点で社会に良い影響を与えることが重要です。例えば、省エネ製品の開発や、働きやすい職場づくりもCSRの一部と考えられます。

社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)

社会的責任投資(SRI)は、企業の財務的な指標だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)などの要素も考慮して行う投資を指します。CSRに積極的に取り組む企業を評価し、そのような企業に資金が集まりやすくなる仕組みです。

投資家がSRIを意識することで、企業側も「社会的責任を果たした方が、結果的に投資を受けやすくなる」と考えるようになります。このように、SRIは企業の行動をより良い方向に促す力を持っています。

グリーンIT

グリーンITとは、ITの力を活用して、環境負荷の低減を目指す取り組みの総称です。

具体例としては、省電力サーバや仮想化技術によるデータセンタの効率化、テレワークの促進による通勤・出張の削減、ペーパーレス化などが挙げられます。
IT機器自体の省エネ化だけでなく、ITを使って社会全体のCO₂排出を減らすことが重視されています。

カーボンフットプリント

カーボンフットプリントとは、ある製品やサービスがライフサイクル全体(原材料の調達、製造、輸送、使用、廃棄まで)で排出する温室効果ガスの量を、CO₂換算で示した指標です。

これを見える化することで、企業や消費者は環境への負荷を意識しやすくなります。企業にとっては、どの工程で排出量が多いのかを把握し、改善につなげるきっかけにもなります。グリーンITやSDGsと組み合わせて考えると、環境配慮型の経営の重要性がよく分かります。

SDGs

SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、国連が定めた2030年までの国際目標です。貧困や飢餓、教育、ジェンダー平等、気候変動など、17の目標が設定されています。

企業は、SDGsを自社のビジョンや事業戦略と結びつけることで、社会課題の解決と自社の成長を同時に目指すことができます。例えば、環境に配慮した製品開発や、多様性を尊重する職場づくりなどは、SDGsの達成にも貢献する取り組みです。ITパスポート試験では、「SDGsが企業経営の重要なキーワードになっている」という流れを理解しておくとよいでしょう。

まとめ

「企業活動と経営資源」というテーマでは、企業が何のために活動し、どのような資源をどのように活用しているのか、そして社会との関わりの中でどのような責任を果たすべきかが問われます。

経営理念やMVV、パーパス経営などは企業の方向性を示し、人的資本経営やディスクロージャー、監査は、その方向性を支える具体的な仕組みです。さらに、CSRやSRI、グリーンIT、SDGsなどのキーワードを通じて、企業と社会・環境との関係性を理解しておくことが、ITパスポート試験対策にも役立ちます。

この記事で紹介した用語や考え方を整理しながら学ぶことで、単語の暗記だけでなく、「現代の企業がどのような視点で経営しているのか」をイメージしやすくなるはずです。

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この記事を書いた人

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の活動を陰ながら応援している、しがないソフトウェアエンジニア。
24歳。
ビットコインの生みの親・サトシ ナカモトの兄弟。
ITやソフトウェアに関することをわかりやすくまとめ、多くの人にそれらを知ってもらおうと活動しています。
ご質問やご要望、お仕事依頼がございましたらお問合せフォームよりお願いいたします。

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